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中国産ウーロン茶の自主回収 健康影響なし…柔軟対応が必要

先月下旬から今月にかけて、食品衛生法の基準値を超える残留農薬が検出されたとして、中国産ウーロン茶の自主回収が相次いでいる。検出された農薬は日本では茶葉の栽培に利用されておらず、ポジティブリスト制度の基準値を超えたものだ。検出された量はお茶として飲んだとき、健康被害が心配されるものではない。基準値がある以上、順守しなければいけないが、食品を「限りある資源」と考えれば、回収・廃棄は正しい選択なのか-。(平沢裕子)

◆顧客の指摘で検査

問題となったのは、フィプロニルとインドキサカルブの2種類の農薬で、いずれも殺虫剤。日本では、フィプロニルは米や白菜、インドキサカルブはトウモロコシや大豆などに使われ、農産物の種類によってそれぞれの残留基準値が設定されている。ただ、茶葉での使用は登録がないため、ポジティブリスト制度での基準値0・01ppm(フィプロニルはより厳しい0・002ppm)が適用される。

これらの農薬は茶葉の輸入時、検疫所で行うモニタリング検査で対象となっていない。発覚したのは企業の自主検査がきっかけ。最も早く自主回収に踏み切った小谷穀粉(高知市)は、顧客からの「残留農薬は大丈夫か」との指摘を受け、抜き打ち検査を実施し、基準値超が判明した。

同社の場合、フィプロニルが基準値の31倍の0・063ppm検出されたものもあった。ただ、フィプロニルのADI(1日許容摂取量=人が一生涯毎日摂取し続けても健康への影響がないとされる1日当たりの摂取量)は体重1キロ当たり0・0002ミリグラム。0・063ppmフィプロニルが混入しているウーロン茶葉では、体重60キロの人が毎日190グラム食べ続ける量がADIに相当する。茶葉を1日190グラム食べる人はいないといえ、普通にお茶として飲むには問題のない量という。

◆お茶から検出なし

しかし、回収対象のお茶を飲んだ人の中には「回収されたのだから危ないのでは」と不安に思う人もいるかもしれない。フィプロニルの場合、コメ(玄米)での残留基準値は0・01ppm。今回の茶葉はこれより高い数値だが、同社が外部の検査機関に依頼した検査では、お茶にしたときには不検出。同社は「通常の使用方法で飲用することで健康被害を引き起こすものではない」としている。

自主回収は約30社、製品数では100近い。ここ数年、まだ食べられる食品が廃棄される食品ロスが問題となっているだけに、「健康に影響がないなら回収しなくてもいいのでは」との声もある。ポジティブリスト制度は、未登録の残留農薬に対する消費者の不安の高まりを受けて設けられたが、最近は実際の健康被害からかけ離れた基準値による弊害も指摘される。

鈴鹿医療科学大学(三重県鈴鹿市)の長村洋一教授は「基準値と、食べたときに危険な数値は異なるが、これを知らない人も少なくない。食の安全を消費者が正しく理解するための教育とともに、公的機関で安全性を評価し、問題がなければ『健康被害の恐れはないので回収しないことが望ましい』との見解を出してもいいのではないか」と話している。

【用語解説】ポジティブリスト制度

基準が設定されていない農薬などが一定量以上(人の健康を損なう恐れのない量として厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて定める量)含まれる食品の流通を原則禁止する制度。

http://news.goo.ne.jp/article/sankei/life/medical/snk20121226508.html

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