県は、太陽光発電のために公共施設の屋根を発電パネルの設置場所として企業に提供する「屋根貸し」事業に参入する。今年7月に自然エネルギーの固定価格買い取り制度が始まったのを受け、神奈川県など複数の自治体が事業を開始していることから、県も新潟市、長岡市など県内23市町村と共同で始める。県と市町村による共同展開は全国でも初めてという。自然エネルギーの柱とされる太陽光発電に県挙げて取り組むことで普及を加速させるとともに産業振興にもつなげる。
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屋根貸し事業は、県や市町村の役所など公共施設の屋根を借りた発電事業者が、設置した発電パネルで作った電気を東北電力に売電することで得る収入から賃料を県と市町村にそれぞれ支払う仕組み。窓口を県に一本化することで手続きなどを簡素化し、導入を早める。
県は発電事業者を来年1月21日まで募り、同月中をめどに採択する。1事業者に貸し付ける方針で、事業期間を売電開始から20年以内とする。貸し出す施設数は県が53施設、市町村が140施設。屋根面積は延べ28万5662平方メートルに及ぶ。全ての施設に発電パネルを設置した場合、出力は2万キロワット程度に上り、一般家庭約5千戸分の電気を作ることができる。
県内は雪国のイメージが強く、太陽光発電に適していないという見方があるが、県によると阿賀野市に昨年設置した県営の大規模太陽光発電所(メガソーラー)「新潟東部太陽光発電所」では、好天に恵まれた影響で初年度1年間の売電量が想定より15・3%多かったという。
泉田裕彦知事は25日、参加する市町村の首長などと県庁で記者会見し、「雪国でハードルが高いと思われている部分もあるが、再生可能エネルギーの普及促進を目指す。次世代のエネルギーの選択の幅を広げ、その可能性を切り開きたい」と意欲を示した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121226-00000012-san-l15