ビール風味だけでなく、カクテルやチューハイ風味など種類も増え、人気が止まらないノンアルコール飲料。でも、子どもから「お酒じゃないなら飲ませて」と言われたら……。未成年が飲むことにはさまざまな意見があるようだ。
◇各社「20歳以上に開発」 未成年、本物誘引恐れ
第一生命経済研究所が今夏、未成年の子どもがいる30代と40代の男女1200人に対し、ノンアルコール飲料について「何歳ぐらいから飲んでいいと考えるか」と尋ねたところ(回答数600人)、最も多かったのは「20歳以上」で約36%。以下「大学生(18~19歳くらい)」(約32%)、「高校生(15~17歳くらい)」(約17%)が続いた。中学生(12~14歳くらい)、小学生(6~11歳くらい)という回答も約6%ずつあった。
「未成年者が飲んでもよい」と答えた人に理由を尋ねると、男性は「法的にも発育的にも問題がない」(約37%)「子どもが飲みたがれば、ダメという理由はない」(約35%)との答えが多かったが、女性は「子供が実際に飲酒することを避けられると思う」(約33%)が最も多く、回答に男女差がみられた(複数回答)。
一方「20歳以上」と回答した人に理由を問うと「未成年のうちから飲酒の習慣をつけるのはよくない」「本物のアルコールへの関心を高めてしまう」「大人と子どものけじめをつけるべきだ」などの意見が多かった。
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ノンアルコール飲料は清涼飲料なので、未成年が飲んでも法的には問題ない。だが、ビール大手各社は「20歳以上の人に向けて開発した商品」と位置づけており、未成年が飲むことを勧めていない。
これらの飲料について各社は「お酒らしい味わい」を追求しており、サントリーは「本物のアルコール類に誘引する恐れがある」として、酒売り場に置いてもらうよう販売店などに要請している。セブンイレブンでは酒類と同様に、販売時に年齢確認をしている。
未成年者の飲酒は発育に影響を与えるほか、大人より急性アルコール中毒になりやすい。しかし、厚生労働省研究班の調査(10年)によると、中学3年生の約1割、高校3年生の約2割が、直近の1カ月間に1日以上飲酒しているのが実態だ。
ノンアルコール飲料に関する今回の調査を行った第一生命経済研究所の宮木由貴子主任研究員は「法律上の規定はないが、モラルの問題としてどう考えるか難しい事柄が増えている。『何となく周囲の状況に合わせる』のではなく、子どもの年齢や状況に応じて各家庭で話し合い、ルールをつくることが大切だ」と話している。
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◇ノンアルコール飲料
酒税法でいう「酒類」とは、アルコール含有量1%以上のもの。従来のビール風味飲料には微量のアルコール分が含まれていたが、キリンビールが09年、酵母を使わない製法によりアルコールを含まない「キリンフリー」を発売。他社からも「アルコール0.00%」を表示する飲料が相次いで登場した。もともと車の運転前の飲用を想定して開発されたが、今は食事中や風呂上がりなど、さまざまな場面で飲まれている。
http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/life/medical/20121104ddm013100034000c.html