日本政策金融公庫はこのほど、同社の融資先農業者を対象に行った農産物輸出の取組みに関する調査結果を発表した。同調査は、9月~11月の期間に郵送アンケートおよび面談にて行われ、1,003の農業者から有効回答を得た。
まず、農産物輸出への取組み状況を尋ねたところ、「現在取り組んでいる」(以下、輸出継続中の農業者)と答えたのは全体の10.3%。また、「現在取り組んでいないが、今後は取り組む計画がある」は3.2%、「現在取り組んでいないが、今後は取り組みたい」は22.0%で(以下、両者合わせて輸出の計画・意向がある農業者)、全体の25.2%が農産物輸出に意欲を示していることがわかった。
反対に、「現在取り組んでいないし、今後も取り組むつもりはない」は60.9%、「以前取り組んでいたが、現在は取り組んでいない」は3.6%だった。
輸出継続中の農業者に、売り上げに占める農産物輸出の割合を聞くと、圧倒的に多かったのが「1%未満」で69.2%、次が「1%以上3%未満」で12.8%となり、輸出の割合は極低い水準にとどまっている実態が明らかになった。
取引価格(輸出取引の国内引渡・卸売価格)を見た場合、輸出継続中の農業者の実績では、「通常の国内取引とほぼ同じ」が55.7%で最多。一方、輸出の計画・意向がある農業者では、「通常の国内取引より10~20%高い」が42.9%、「同5~10%高い」が22.5%と、国内より有利な条件での販売を希望している農業者が多く、実際の輸出価格との間に大きな差があることが判明した。
農産物輸出の対象地域について調べたところ、輸出継続中の農業者の実績では、「香港」43.3%、「台湾」24.7%、「米国」24.7%、「中国」23.7%との順に。輸出継続中の農業者が”今後展開したい地域”でも、「香港」が44.3%でトップとなったほか、「中国」が実績より12.1ポイント増の35.8%、「シンガポール」も同13.8ポイント増の29.3%となった。
また、輸出の計画・意向がある農業者でも、「中国」47.1%、「香港」44.5%と高い数字を得ていることから、「中国のみならず香港、台湾、シンガポールといった大中華圏市場に対する強い期待をうかがわせる」(同公庫)。
輸出継続中の農業者に「販売チャネル」を尋ねてみると、実績では、1位「日系スーパー」21.6%、2位「高級レストラン(日本食)」18.6%、3位「高級スーパー(日系以外)」17.5%との結果に。それに対して、今後の意向では、「高級デパート(日系以外)」が実績より17.2ポイント(8.2%→25.5%)、「高級スーパー(日系以外)」が同12.7ポイント(17.5%→30.2%)増えており、日系以外の販売チャネルの開拓が今後の輸出拡大のポイントと見られる。
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