26日に新政権をスタートさせる自民党の安倍晋三総裁は「教育再生」を政権公約の柱の一つに掲げてきた。教育基本法改正後の再生の流れは、民主党政権時代に止まったままだ。安倍氏は、国民との約束を果たすべく、いまこそ山積した懸案を解決する取り組みを加速させるべきだ。
何よりもまず、ようやく緒についた学力向上策を確実なものにする必要がある。規模が縮小された全国学力テストは真っ先に見直されるべき課題だろう。大幅に削減された道徳教育の予算も復活が欠かせない。
ばらまきと批判された高校無償化策は所得制限を設けるなど、大幅に見直すべきだ。北朝鮮や在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)と密接な朝鮮学校まで対象にすることは国民の理解を得られない。
昨年の中学校教科書採択では、沖縄県の八重山地区でいったん採択された教科書に地区内の竹富町教委が反発し、これに県教委などが「介入」して決定が覆される事件が起きた。
文部科学省はこの「逆転採択」を無効としたが、それ以上の是正措置は取らなかった。この結果、竹富町は外部から寄贈された形を取って独自の教科書を採用する異様な事態となった。
国は義務教育課程の教科書無償給付にあたり、その採択手順も法律で細かく定めている。地方の勝手なルール変更は許されない。こうした法令違反には、国が適切に対処できるよう地方教育行政法を改正することも重要だ。
日本教職員組合(日教組)など一部とはいえ、教師が生徒そっちのけで選挙などの政治活動に明け暮れる現状がある。公教育への国民の信頼を裏切るこうした行為には、教育公務員特例法に罰則を設けるなど正常化への措置が取られるべきだ。
30年前の歴史教科書問題を契機に教科書検定基準に加えられた「近隣諸国条項」の見直しも腰を据えて臨むべき重要課題だ。
「近隣諸国との友好・親善に配慮する」とした宮沢喜一官房長官(当時)の談話に基づくものだが、史実に基づくべき教科書の記述をゆがめ、周辺国の内政干渉を招く要因となっている。
日本の未来を担う子供たちに国が責任を持ってまっとうな教育を用意する。安倍氏への期待は大きく、責任は重い。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/121225/edc12122503140000-n1.htm