子どもを抱っこして自転車に同乗させているときに転倒したり、子どもが転落してけがをしたという事故が起きています。自転車に同乗させるには、幼児用座席を使用するか、おんぶしなければならず、抱っこして同乗させることは道路交通関係法令にも違反します
消費者へのアドバイス
事故を防ぐためには…
子どもを抱っこして自転車に同乗させることはやめましょう
転倒したり子どもが転落した場合、子どもの頭部などに重篤なけがを負うおそれがあり危険です。
道路交通関係法令にも違反しますのでやめましょう。幼児用座席を使用可能な年齢に達した子どもには、ヘルメットを着用させ、幼児用座席を使用して同乗させるようにしましょう。
子どもをおんぶして安全に自転車に同乗させることは困難です
おんぶして同乗させることは道路交通関係法令で認められていますが、おんぶできる首すわり後でも、1歳未満の子どもを対象とした自転車用ヘルメットは市販されておらず、安全に同乗させることは困難です。
自転車乗車時のおんぶを禁止している抱っこひもや自転車もありますので、取扱説明書をよく確認しましょう
おんぶにも対応できる抱っこひもでも、自転車乗車時の使用を禁止しているものがあるほか、自転車によっては子どもをおんぶして乗車することを禁止しているものもあります。取扱説明書をよく確認して正しく使用しましょう。
こんな事故が起きています
「医療機関ネットワーク※1」には、2017年4月から2022年9月末日までに、
抱っこして自転車に同乗させた子どもがけがをした事故情報が32件寄せられています。
ケース1:転倒
保護者が自転車で抱っこひもを装着して走行中に転倒した。保護者は抱っこひもに子どもを対面抱っこでゆっくりと走行。風にあおられた際に自転車が右に倒れ、保護者は前のめりに倒れた。地面はコンクリート。とっさに保護者が子どもの後頭部を抑えたが、抑えきれず右頭部を打撲した。子どもは頭部打撲後すぐに泣いた。受診日に子どもの活気は見られたが、後頭部に陥没あり。頭蓋骨骨折で7日間入院となった。
(事故発生年月:2022年2月、7カ月・男児)
ケース2:転落
抱っこひもで子どもを抱っこして、保護者が自転車を運転していた。子どもには厚手の洋服を着せていたため少し抱っこひもを緩めていた。歩道から車道に出る段差を通った際に、おそらく子どもが抱っこひもの横から転落した。前を見て運転していたため落ちた瞬間は見ていなかったが、すぐに気づいた。子どもはうつぶせで道路に倒れて泣いており、抱っこして抱っこひもに入れたら泣き止んだが、帰宅後に不機嫌と前額部血腫があり受診。頭頂骨骨折、硬膜外血腫、鎖骨骨折があり集中治療室に入院した。
(事故発生年月:2022年1月、5カ月・女児)
消費者へアンケート調査を行いました
実施時期:2022年9月 実施方法:インターネットアンケート 対象人数:1,000名
調査対象:全国の18~69歳の男女で、過去3年以内に子どもを抱っこひも等を使って自転車に同乗させたことがあり、その頻度が週1日以上であった人
抱っこまたはおんぶでの自転車への同乗について
▶自転車に同乗させた目的で最も頻度が高いのは
「幼稚園、保育園への送迎」でした
▶同乗させた方法で最も多いのは「抱っこ」で
その理由は「幼児座席の対象年齢未満であったから」でした
▶おんぶではなく抱っこをした理由で最も多いのは
「おんぶをすることが難しい」という回答でした
▶抱っこして同乗させた人の半数以上は
法令違反となることを認識していました
事故の経験について
▶6割近くの人が転倒したり子どもが転落した、そのおそれがあったと回答しました
▶けがの内容の多くは頭蓋内損傷や足の骨折 などでした
▶けがをした子どもの年齢で最も多かったのは1歳未満でした
再現テストを行いました 腰ベルト付き抱っこひもで子どものダミー人形(3カ月児相当/身長 60 ㎝・体重4㎏)を抱っこして自転車に乗りました。
抱っこした状態では・・・
子どもを抱っこしていると、運転者の足元の視界が妨げられます
また、腕やハンドルが子どもに当たり、ハンドル操作がしづらくなります
足元の視界が妨げられる 腕やハンドルが子どもに当たる
幼児用座席にも子どもを乗せた状態ではバランスをとりづらく、転倒のリスクも高まります
抱っこひもの装着が緩いと・・・
運転者の大腿部やひざにより子どもが持ち上げられ、抱っこひもの隙間から転落するおそれがあります
転倒した場合や転落しそうな場合、とっさに子どもをかばったり支えたりすることは難しく、子どもの頭部等が路面に打ち付けられ、重篤なけがを負ってしまうおそれがあります