デング熱拡大で虫よけスプレーや殺虫剤の品薄状態が続いているが、見境なく買ってはいけない。国立感染症研究所は、「ディート」(虫よけ化合物)を配合した蚊の忌避剤を推奨しているが、各社の商品によって配合濃度にバラつきがある。
「海外では30%を超す配合量の商品も販売されてますが、日本では肌荒れなどの恐れがあるとして、薬事法で12%の配合までしか認められていません。濃度が高いほど蚊の忌避効果は高くなりますが、今回、代々木公園周辺で見つかったデングウイルスを持つヒトスジシマカは、5%程度の濃度でも近寄ってきません。肌の弱い人や幼児などは、あえて薄めの虫よけを購入するという手もあります」(サイエンスジャーナリスト・中川基氏)
■海外でも愛好される蚊取り線香のパワー
購入前にはパッケージの成分表示をよく読むこと。そこに配合量がパーセンテージで示されてある。上限の12%を求めるなら、医薬品の「ムヒ・虫よけムシペールα」(池田模範堂)、「サラテクトFA」(アース製薬)、「メンターム虫バイバイEX」(近江兄弟社)などがある。
注意したいのは、ディートの効果が持続性に欠ける点。雨や汗ですぐ流れるため、バーベキューや登山などに出かける人は、2~3時間置きに塗布することを心がけたい。
一方、東南アジアなどデング熱の流行地帯に出かける人には「蚊取り線香」を推奨する。熱帯地方の蚊は、日本の蚊のように“ヤワ”ではなく、虫よけでは、太刀打ちできないケースもあるのだ。
「日本伝統の蚊取り線香の成分は、ディートより強力な天然ピレスロイド。煙が出る分、効果が高く、海外でも愛好者が多い。最強の蚊よけといっていいでしょう」(中川氏)
フィリピンやタイでもデング熱やマラリア対策として日本の蚊取り線香が大人気だという。販売実績130年の伝統はあなどれない。
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