梅雨から夏にかけては食中毒が発生しやすい時期だ。対策の基本は、原因となる細菌などを「付けない」「増やさない」「やっつける」の3つ。買い物や料理、食事、弁当作りの際は十分に気をつけたい。(竹岡伸晃)
◆3原則が大事
食中毒を引き起こす主な原因には、腸管出血性大腸菌(O(オー)157、O111など)やサルモネラ菌などの細菌▽ノロウイルスなどのウイルス▽毒キノコやフグなどの自然毒-がある。このうち、梅雨から夏にかけて多いのが細菌による食中毒。高温多湿の環境下で細菌の増殖が活発になるためだ。
「細菌を付けない・増やさない・やっつける(殺菌する)の3原則を頭に入れ、毎日の食事作りに取り組むことが必要」。料理教室「若宮ヘルシークッキングスタジオ」(東京都江戸川区)を主宰する栄養士でフードコーディネーター、若宮寿子(ひさこ)さんは強調する。
これを踏まえ、買い物~後片付けの生活シーンに合わせた具体的な対策は-。
まず、買い物。肉や魚は最後に買い物かごに入れ、会計後は店頭に用意された氷で冷やしながら持って帰る。家から保冷剤と保冷バッグを持参してもいい。肉や魚の汁が野菜や果物などに付着しないように肉や魚は分けてポリ袋に入れる。
「温まると細菌の増殖が進む」(若宮さん)ため、寄り道はせずまっすぐ帰宅し、ポリ袋に入れたまま、すぐに冷蔵庫の中に。冷蔵庫は10度以下、冷凍庫は零下15度以下に保ち、庫内の温度が上がらないよう扉の開閉はなるべく控える。
次に調理。若宮さんは「包丁やまな板、ボウルなどの調理道具は洗っていても細菌が増殖している可能性がある。使用前に殺菌・消毒してほしい」と話す。方法は、熱湯消毒▽市販のアルコール除菌スプレーなどを使うアルコール消毒▽漂白剤を使う消毒-など。若宮さんのお勧めは手軽なアルコール消毒だが、(1)調理道具が乾いた状態で使う(2)周囲に火気がないことを確認する-点に気をつける。
◆習慣付けて
調理は生で食べるサラダや果物などから始め、それらを冷蔵庫に入れた後、肉や魚に取りかかる。包丁やまな板は「野菜・果物用」と「肉・魚用」に分けることを意識する。
肉や魚はしっかり加熱する。目安は「中心部の温度が75度で1分以上加熱」。例えば、ハンバーグの場合、「箸で穴を開けたとき、赤身の部分がなく、肉汁が透き通っていれば大丈夫」(若宮さん)。生焼けの場合、「蓋をして弱火で蒸し焼きにする」などの方法で中まで火を通す。
最後に食事。食事前に清潔な台布巾やアルコールを吹き付けたペーパータオルなどで食卓を拭く。アルコールを使う場合、色落ちしない材質であることを確認する。
料理は清潔な食器に盛りつけ、なるべく早く食べる。すぐに食べない場合は冷蔵庫で保存し、食べる際に十分加熱する。「カレーなどは底までかき混ぜながら加熱する。煮物は少量なら電子レンジで加熱、量が多ければ鍋でもう一度煮る」(若宮さん)
食事後、まな板や包丁、台布巾などは洗剤で洗い、それぞれ殺菌・消毒して保管。調理台も汚れや水分を拭き取り、全体にアルコールを吹き付けて消毒する。若宮さんは「食中毒のリスクを減らすため、一つ一つの対策を習慣付けてほしい」と話している。
■手洗いも重要
食中毒を防ぐには手洗いも重要だ。若宮さんは「調理開始前や肉、魚、卵などを取り扱う前後、トイレに行ったり、はなをかんだりした後、食事前などのタイミングで、せっけんを使ってこまめに手を洗ってほしい」とアドバイスする。手のひらや手の甲だけでなく、指先や爪の間、指と指の間、親指、手首などもしっかり洗う。
手を拭くタオルも清潔なものを用意する。「朝食、昼食、夕食を作るごとに、新しいものに取り換えた方がいい」(若宮さん)。使い捨てのペーパータオルを利用するのも一つの方法だ。
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/life/snk20140606560.html










