肩こりがつらいとき、首に違和感があるとき、どうしていますか? 自分で首を捻って、ボキっと音を鳴らすとスッキリ! なんていう話もよく聞きます。
しかし、肩こりや首の痛みでは、自分で良いと思ってとった解消法が、のちのち悪い結果を招いてしまうことがあります。自分で首を捻って、関節を鳴らすクセがある人は要注意です。
■関節ボキボキはクセになる
首をボキボキ自分で鳴らすという行為は、はたしていいのでしょうか? 整体やカイロプラクティックの先生も、関節をボキボキ鳴らして施術をしているから、大丈夫だと思っていませんか?
実は、自分で首をボキボキ鳴らすことを習慣にしてしまうのは、とても危険なことなのです。一時的なスッキリ感を覚えてしまうと、そのクセを止めようと思っても、首を鳴らさなければ首の違和感や肩こりを強く感じてしまい、止められなくなってしまう恐れがあります。
■「ボキボキ」は何の音?
首を捻るとボキボキ鳴る音の正体は何か、海外の研究を含めると、まだはっきり解明されてはいないのですが、有力な一説があります。それは、「気泡」。
関節は2つの骨から成り、少し隙間があります。関節周囲を覆うように関節包という組織があり、その中には関節をスムーズに動かし、軟骨に栄養を与えるための液体(滑液)が入っています。自分で首を思い切り捻ると、その関節周囲では圧力の変化が起きるのですが、「ボキ」の正体は、そのときに液体から発生する気泡の音であると言われています。このときの刺激が、首の筋肉をリラックスするように感じさせ、スッキリ感を得てクセにさせてしまうのです。
■スッキリするのは少しの間だけ
音をさせることで得られるスッキリ感は、一時的に首の痛みや肩こりを緩和させるかもしれませんが、実はとても危険です。いつもはすぐに鳴る音がなかなか鳴らないといって、繰り返し挑戦しているうちに、頚部の筋肉や関節を痛めてしまうことあります。
やみくもに鳴らしていると、骨の変形を招いたり、音の種類によっても骨の変性の進行に違いが見られる、といった話もあります。自分で鳴らす場合は、音の鳴る関節がだいたい決まってきてしまい、常に同じ部位だけが刺激をされるということも良くありません。
■首を鳴らしたくなったらどうする?
どうしても関節の音を鳴らさないと気が済まないという人は、つらいと思いますが、無意識に首を捻るクセを直すように心がけてください。「鳴らしたい!」という衝動に駆られても、そこはじっとこらえて下さい。
鳴らし続けてしまうと、一時的には気持ちよくても、そのうち首の痛みを生じたり、周辺の筋肉が硬くなってきて、コリが改善されにくくなる可能性があります。ある程度の期間我慢ができた場合、今まで音が鳴っていた関節の周囲も、不安定性が改善され、悪化が防げると思います。
整体やカイロプラクティックの先生が、関節を鳴らすような施術をする場合がありますが、それは、回復させるべき部位を見極めて行っているものです。自分で音の鳴りやすい部分だけをボキボキさせるものとは違うので、音が鳴ればいいというわけではありません。
今までボキッという音は鳴らなかったのに、あるときから首を動かすと自然と音が鳴ってしまうようになり、心配される方がいます。音だけでは状態の良し悪しはわかりませんが、筋肉の緊張が緩和されたり、関節の動く範囲が改善させると、音が消える場合があります。
過去にそういった経験がある人が、再度、自然と音が鳴るようになってしまったら、「もしかして、首に負担がかかり始めたかも?」という目安になるかもしれません。
文・檜垣 暁子(All About 骨・筋肉・関節の病気)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140503-00000001-nallabout-hlth