発達障害の子どもは、日常生活での失敗・困難のために周囲の理解が得られにくいこともあるが、家庭・学校・医療機関などでの適切な対応で、困難が減り、自信がつくように。
1.発達障害による影響
発達障害には、社会性の障害などが見られる広汎性発達障害(自閉症スペクトラム)、落ち着きがなかったり衝動性が目立ったりする注意欠陥多動性障害(ADHD)、読み書きや計算などが極端に苦手な学習障害(LD)の3つのタイプがあります。1人の子どもが複数のタイプを併せもっていることもあります。
発達障害がある場合に心配なのが二次障害です。広汎性発達障害では、対人関係がうまくいかない原因が自分でわからず、他人から疎外されているという気持ちが強まってしまうことがあります。注意欠陥多動性障害では、成功体験が少なくなり、不安障害が起こりやすいことがわかっています。学習障害があると学校に行くことが憂うつになり、不登校になってしまうことがあります。
2.発達障害への対応方法
発達障害への対応方法には、主に療育、学校での対応、医療機関での対応の3つがあります。広汎性発達障害は、コミュニケーションの訓練などを行う療育が重要です。注意欠陥多動性障害では学校での支援のほか、薬物療法に効果があることがわかっているため、医療機関での対応も重要になります。学習障害は、読み書きや計算が極端に苦手なため、学校での対応が最も重要です。
アメリカでは、発達障害の子どもに対して学校で教師がどのように対応すればよいかをまとめた「対応マニュアル」があり、1つの項目に対し数十から100を超える多くの対応策が示されています。すべての内容がそのまま日本でも役立つわけではありませんが、現在、このマニュアルを参考に、日本の学校で活用できるマニュアルの作成が進められています。
3.家庭でもできること
発達障害がある子どもの困難を減らすには、家庭での対応も重要です。たとえば「すぐ興奮する」といった場合は、興奮した状態になったら、まずは落ち着くのを待ちます。その子がどのような状況で興奮しやすいかを知っておき、そういった状況をつくらないようにすることも大切です。「片づけができない」場合は、物入れにラベルを貼り、どこに何をしまうのかがひと目でわかるようにします。「食べ物の好き嫌いが激しい」ことは、広汎性発達障害の子どもによく見られ、主に味や舌触りが原因です。調理法を変えることで食べられるようになることがありますが、それでも食べられなければ無理強いせず食べられる食品を利用し、食事をつらい経験にしないことが大切です。
発達障害がある子どもは叱られることが多く自信を失いがちです。よい行動をとったときはこまめに褒めて、成功体験を積めるようにすることが大切です。
NHK「きょうの健康」2014年3月25日放送分
http://news.goo.ne.jp/article/kenkotoday/life/kenkotoday-20140325-h-001.html










