[ カテゴリー:医療, 生活 ]

もっと知りたい膝の痛み治療法Q&A

これまで変形性ひざ関節症とはどんな病気か、どのような治療法があるか、私が治療で心がけていることや治療継続の重要性などを紹介してきました。今回は皆さんが抱える疑問や不安、悩みについてQ&A方式でお答えしたいと思います。

膝の痛みがあっても、動かしたほうがいいですか?

膝を触っている女性

中高年になると増えてくる膝の痛み

Q:最近、健康雑誌やテレビで膝の痛みを改善する運動が勧められていますが、膝が痛いときに動かすと悪化しないか心配です。

A: 変形性ひざ関節症の場合、痛みが多少あっても膝を動かすことは大切です。

膝を動かさないでいると膝関節周囲の筋肉が衰え、関節への負担が増して膝の痛みが強くなるといった悪循環に陥ります。最初は膝に負担の少ない簡単な運動から始め、膝関節を支える筋肉を鍛えていきましょう。しかし、強い痛みや腫れ・熱感があるときは安静にし、整形外科医師に相談し、薬などで症状を治めることに専念しましょう。

膝の痛みにもっとも効果的な運動の方法は?

Q:膝の痛みを改善する運動として、脚上げ体操やスクワットなどいろいろな運動の方法が紹介されています。どの運動が一番効果的ですか?

A:膝の状態に合った運動が必要です。

膝に負担をかけずに膝関節を支える太ももの筋肉を鍛える運動の1つに、記事「安静は逆効果? 膝の痛みには運動療法と薬物療法」で紹介した脚上げ体操があります。また、プール歩行やウォーキングもいいでしょう。

ただし、膝の症状に合わない運動ではかえって痛みを悪化させてしまう可能性もあります。また、膝の痛みの原因が他の病気である場合も考えられます。そのため、早めに整形外科で診察を受けてください。

膝の痛みと体重は関係ありますか?

運動

肥満は変形性ひざ関節症の原因の1つ

Q:整形外科の先生から、太りすぎなので減量するようにといわれました。膝の痛みと体重には、関係があるのでしょうか。また、減量の際に気をつけることはありますか?

A:肥満は、変形性ひざ関節症の発症や進行要因の1つと考えられています。

膝関節にかかる荷重は歩行時で体重の2倍、階段昇降で3倍といわれています。変形性ひざ関節症の患者さんには肥満の方が多く、膝の痛みのため活動量が減少するため、食事で摂取したエネルギーを十分消費できません。そのため、体重が増加し膝への負担が増すという悪循環に陥ってしまいます。適正な体重を維持できるよう心がけましょう。

すり減った膝の軟骨は、元には戻らないですか?

Q:まだ40代ですが、病院で変形性ひざ関節症と診断され愕然としました。すり減った膝の軟骨を、元に戻す方法はないのでしょうか。

A:現代の医療では、すり減った関節の軟骨は元に戻すことはできませんが、症状を改善する方法はあります。そのため、できるだけ早めに適切な治療を開始し、病気の進行を少しでも遅らせることが肝要です。

変形性ひざ関節症の治療では、関節軟骨のすり減り(破壊)を少しでも抑えることが大切です。運動療法で膝関節を支える筋肉を鍛えて関節にかかる負担を軽減するとともに、軟骨の保護作用が期待できるヒアルロン酸の関節内注射も広く行われています。

右膝関節の前面から撮影したX線写真

右膝関節の前面から撮影したX線写真。左が健康な方の膝関節像。右が変形性ひざ関節症の患者さんの膝関節像。内側の軟骨がすり減り、大腿骨(だいたいこつ)と脛骨(けいこつ)の間が狭まっている (提供:中川匠) *クリックすると拡大します

膝の痛みで整形外科を受診するタイミングは?

Q:ここ数カ月、膝の痛みを感じるようになりました。どのような症状が出たら、お医者さんに相談すべきでしょうか。

A:日常の生活動作の中で膝の痛みが繰り返し出たり、痛みが強まったりしたときは、早めに整形外科を受診するとよいでしょう。

動き始めや立ち上がり、階段の上り下りといった日常動作で膝の痛みを感じる場合は変形性ひざ関節症の初期症状の可能性があります。早めに受診してください。この病気は自然治癒が期待できず、徐々に進行する病気であることにもご留意ください。また、膝の痛みの原因として、他の病気の可能性もあります。

膝の痛みや変形性ひざ関節症の治療では、どのような薬を使っていますか?

Q:変形性ひざ関節症と診断されましたが、自分の症状には、どんな薬が向いているのか知りたいです。治療で使われる薬を教えてください。

A:整形外科医は、患者さんの膝の症状に合わせて薬を使い分けます。治療では炎症や痛みを抑える目的で、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDsなど)やヒアルロン酸の関節内注射の他、アセトアミノフェンという鎮痛薬やステロイドの関節内注射なども使われています。

NSAIDsには飲み薬、貼り薬、塗り薬、坐薬があります。坐薬は痛みが非常に強い場合や飲み薬で副作用が出た場合に使います。

ヒアルロン酸の関節内注射は、膝の痛みや炎症の軽減目的で使います。炎症がひどく膝に水がたまって腫れているときは、ステロイドを関節内に注射する場合もあります。NSAIDsやステロイドの関節内注射は、症状が治まってきたら投与を中止します。

なぜ、ヒアルロン酸を関節に注射するのですか?

膝関節内にヒアルロン酸の注射をしているところ

図 膝関節内にヒアルロン酸の注射をしているところ

Q:変形性ひざ関節症の治療法の1つに、ヒアルロン酸の関節内注射があると聞きました。どうして注射するのでしょうか?

A:ヒアルロン酸は関節内に直接注射することで、膝の痛みや炎症を軽減できます。

ヒアルロン酸は私たちの身体の至る所にある成分で、保水や粘弾性を維持するために不可欠な物質ですが、年齢とともにヒアルロン酸が減少していきます。関節内に直接注射することで痛みや炎症を抑えることができ、軟骨の保護作用も期待できます。

関節内注射は怖くないですか?

Q:医師からヒアルロン酸の関節内注射を勧められましたが、今まで関節に注射したことがないため不安です。

A:関節内注射は、整形外科では一般的な治療法です。近くの整形外科で受けられます。

ヒアルロン酸の関節内注射は、変形性ひざ関節症の治療において痛み止めの薬と併用されることも多く、たくさんの患者さんがこの治療を受けています。不安なときは医師に相談してみてください。

膝への負担を少なくする補助具には、どんなものがありますか?

Q:以前、O脚だと膝への負担が増し、膝の痛みの原因の1つになると本で読んだことがあります。O脚を矯正する方法はありますか。

靴の中敷タイプの足底板

足裏にぴったり収まる靴の中敷タイプの足底板

A:O脚でひざの内側に偏っている負担を減らす足底板(そくていばん)や、膝関節を安定させ負担を減らすブレース(膝サポーターの一種)などの装具を用いる治療法があります。

日本人の変形性ひざ関節症の患者さんはO脚気味になっている方が多く、膝の内側に負担がかかるため膝の内側が痛みます。足底板は靴の中敷やスリッパのような装具でO脚を矯正し、膝の外側に体重を分散して内側にかかる負担を減らします。

スリッパタイプの足底板

スリッパタイプの足底板(下は履いた様子)

ブレースは金属やプラスチックの枠組みをもち膝関節周囲に巻きつける装具で、O脚を矯正し、膝の安定性を高めます。

両方とも膝の状態に合ったものが必要ですので、購入・使用の際には必ず医師に相談しましょう。

http://allabout.co.jp/gm/gc/436260/
http://allabout.co.jp/gm/gc/436260/2/
Facebook にシェア
[`tweetmeme` not found]

コメントする

Facebook にシェア
[`tweetmeme` not found]

団体理念  │  活動展開  │  団体構成  │  定款  │  プライバシーの考え方  │  セキュリティについて  │  事業  │  メディア掲載  │  関連サイト  │  お問い合わせ

copyright © JMJP HOT TOWN Infomaition Inc. All Rights Reserved.   NPO法人 住民安全ネットワークジャパン

〒940-0082 新潟県長岡市千歳1-3-85 長岡防災シビックコア内 ながおか市民防災センター2F TEL:0258-39-1656 FAX:020-4662-2013 Email:info@jmjp.jp