世界中で大ヒットしたビジネス書『7つの習慣』の著者スティーブン・コヴィー博士の理論をベースにフランクリン・コヴィー社が、“卓越した生産性”の実現に特化した新メソッドを開発。あなたの人生を左右する「選択の瞬間」とは──。
■第5の選択――「エネルギードライバー」
日本の社会には、ギリギリまで頑張ったり、燃え尽きるまで取り組んだりすることを尊ぶ風潮がある。元気溌剌にしているより、徹夜で目の下にクマをつくっている人のほうが偉い、という雰囲気だ。しかし、疲れ切った状態よりも、きちんとリフレッシュして頭が冴えている状態のほうが、よりよい成果を出せるに決まっている。
アスリートは自分のコンディションを最高の状態に整えて試合に臨む。イチローが長期に渡って卓越したプレーを披露できている背景には、良好なコンディションを維持している事実があるのだ。
知的アスリートである知識労働者も、卓越した生産性を実現するには心身のベストコンディションを維持しなければいけない。山のように降ってくる小石(雑事)の処理に追われ、心身のエネルギー充電を怠ると、やがて燃え尽きてしまう。
心身にエネルギーを充電するポイントは5つある。これを我々は「5つのエネルギードライバー」と呼んでおり、ドライバーの相互作用によって脳は活性化し、燃え続けることが可能になる。
1つめのエネルギードライバーは「運動」である。適度な運動は集中力を高め、運動不足は注意力や思考力を低下させる。とくに1日中机に座りっぱなしになるような仕事に就いている場合は要注意だ。
2つめは「食事」である。持続的にクリアな思考や高いパフォーマンスを発揮するには、体によい食べ物で栄養を摂取する必要がある。
3つめは「睡眠」だ。睡眠不足に陥ると判断力が低下し、長く続けば心身の健康に悪影響を及ぼす。過労による病気やうつの背景には、長時間労働による睡眠不足があると指摘されている。また、睡眠は記憶の定着にも影響を与える。
4つめは「リラックス」である。現代人はストレスの多い環境で生活している。ある程度のストレスは心身の活性化に役立つが、多すぎると脳や身体にダメージを与える。これまで見てきた第1~第4の選択(http://president.jp/articles/-/11657)を行うことでストレスを効果的に管理し、自分の生活の主導権を取り戻すことができる。加えてリラックスのリズムをつくると、さらにストレス解消ができる。休憩はリラックスのためにとても重要だ。1日のうち10分程度でもゆったり寛げる時間をつくると、心身のバランスを取り戻すよい機会となる。
5つめは「社交」である。これは原文だとConnect、つまり他者との触れ合いのことを指す。大切な家族や友人、パートナーと共に過ごすひとときは、まさにエネルギーの充電そのものであろう。
これら5つのエネルギードライバーは、少しサボったところですぐに大きな影響が出るものではない。しかし5年、10年とサボり続ければ、健康に問題を抱えたり、家族や周囲との人間関係を悪化させたりと、大きなダメージを受ける。緊急ではないが重要な第2領域の活動そのものである。「今日は忙しいから」といって運動や食事をおろそかにするのは、緊急軸によって第2領域の活動を後回しにする行為である。
今、世界のエネルギー危機が大きな問題となっているが、緊急軸に振り回されていると、自分の内部にもエネルギー危機が生じてしまう。その危機を未然に防ぐのが、この5つのエネルギードライバーなのである。
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スティーブン・R・コヴィー
1932年、米国ユタ州生まれ。作家、経営コンサルタント。世界78カ国でリーダーシップやマネジメント教育などを手がけるフランクリン・コヴィー・グループの創始者の1人。著書は『7つの習慣』『第3の案』など。
■フランクリン・コヴィー キングベアー出版
http://www.franklincovey.co.jp/books/
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(フランクリン・コヴィー・ジャパン副社長 佐藤 亙 構成=宮内 健 撮影=若杉憲司)
http://news.goo.ne.jp/article/president/bizskills/president_11683.html










