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一滴も養を逃がすな! 超濃厚! ビタミン野菜料理

毎日何げなく、作っている野菜料理。料理方法で、大事なビタミンを逃がしてしまっているとしたら……。調理学が専門の豊満美峰子先生に、知らずにやっている野菜のビタミンを逃がしているもったいない料理法について伺った。そしてビタミンを効率的にとれる料理法までも伺ってきた。

もったいない料理法のまず1つめは、意外にも「レタスをよく洗ってサラダにすること」。最近の一般家庭では代表的な野菜料理だというサラダ。この作り方のいったいどこがもったいないのか。

「2つの意味で栄養を逃がしていますね。まず1つは、時間をかけて洗ったり、切ってから洗ったりすると、野菜に含まれているビタミンB群やビタミンCなど水溶性ビタミンが水に溶け出してしまうのです。レタスに限らず、キャベツや水菜などサラダにするような葉物野菜はみな同様です」(豊満先生、以下同)

農薬が気になるかもしれないが、最近の農薬は残存しないものも多く、人体に影響のないように量的基準も厳しい。野菜を洗うときは短時間にさっと、で大丈夫。

そしてもう1つの残念な点は、加熱すればもっと量をたくさん食べられるのに、生でサラダとして食べていることだ。

「レタスは生で食べる習慣がありますが、中華料理のレタス炒めに代表されるように、実は加熱してもおいしいし、ビタミンもいっぱいとれるのですよ。“レタスのバター煮”もおいしいですよ」

水溶性ビタミンは水だけでなく熱にも弱いものが多いので加熱しないほうがいいのだが、熱を加えることでかさが減り、食べやすくなるメリットが大きい。加熱したことで多少ビタミンが失われたとしても、その分たくさん食べればいいのだ。豊満先生によれば、

「加熱することで野菜から水分が出ますが、その水分ごと食べるといいです。炒め物なら最後にかたくり粉でとろみをつければ野菜の水分ごと食べられます。あるいは、“野菜スープ”にすると溶け出したビタミンも飲めるのです。レタスはみそ汁の具にしてもおいしいですよ」

■レタス料理の常識
×よく水で洗ってからサラダにする
○炒め物や蒸し物でクタッとさせる

サラダよりも、「加熱」して食べよう
レタスのサラダはシャキシャキした歯ごたえでおいしいが、水洗いし、水にひたすと水溶性ビタミンが流出してしまう。“レタスは加熱すること”がビタミンをたっぷりとるためのコツ。おすすめは豊満先生が教えてくれた「レタスのバター煮」(作り方は後述)。夫婦2人で1個まるごとレタスを食べてしまうこともあるそうだ。

■トマト料理の常識
×生で食べるのが一番
○たくさんの量を煮て、スープにする

煮て「スープ」か「焼きサラダ」がいい
トマトに含まれるビタミンCなどのビタミン類も加熱することで失われるが、量を食べられるので加熱するのがおすすめだ。トマトやパプリカ、玉ネギなどをミキサーにかけてスープにすれば、野菜の形が残らないので、家族が嫌いな野菜をこっそり忍ばせておくこともできる。画像左は「太陽と野菜のスープ」(作り方は後述)。

もったいない野菜の食べ方の2つめは、「ブロッコリーやニンジン、パプリカなど緑黄色野菜はゆでてばかりで、油と共に調理していない」こと。たいていの野菜には水溶性ビタミンが含まれているが、緑黄色野菜には特に多く含まれている。ということは、ゆでると水溶性ビタミンがゆで汁の中に溶け出し、ザルにあけるとき、ゆで汁と一緒に流してしまっていたのである。緑黄色野菜を加熱するなら、ゆでて温野菜として食べるより、水を使わない“焼き野菜サラダ”にしたり、炒める、揚げる、蒸すなどの料理法がいい。

電子レンジ加熱も水を使わなくていいという点ではおすすめだが、ホウレン草などアクの強いものには向いていない。また、せいろや蒸し器(シリコンケースなど電子レンジ用でも可)で、蒸し野菜にするほうが栄養が逃げない。

さらに食べるときにもポイントがある。温野菜を塩やノンオイルドレッシングで食べてはいないだろうか。これが残念な点の3つめだ。

緑黄色野菜には水溶性ビタミンのほか、ビタミンA、E、Kのような脂溶性ビタミンが共存していることが多い。脂溶性ビタミンは油と一緒にとることで吸収率が高まるので、油で揚げたり炒めたりするほうが、好都合なのだ。

「カロリーが気になる方は、油=悪と思うかもしれませんが、子供は活動量も多いし、油には細胞の膜をしっかりさせる働きがある。新しい細胞が次々と生まれている成長期には必須の栄養です」と豊満先生。温野菜を食べるにしてもドレッシングをかけたほうが脂溶性ビタミンの吸収がよくなる。その際に大人はついノンオイルドレッシングに手が伸びるが、オイル入りのドレッシングで脂溶性ビタミンをしっかり体に取り込もう。

■ニンジン料理の常識
×温野菜にして“ノンオイル”で食べる
○油で調理するか、ドレッシングで食べる

脂溶性・水溶性とも逃がさない
ニンジンやブロッコリー、カリフラワー、アスパラなどの硬い野菜はゆでることが多いが、オーブンでじっくり焼くか蒸すのが水溶性ビタミンを逃がさないコツ。色の濃い緑黄色野菜は油と一緒に食べるとビタミンAの吸収がアップするので、ホウレン草もおひたしよりは油で炒めるなどして食べたほうがいい。

そしてもったいない食べ方の4つめは、「焼き芋を電子レンジで作ること」。

「ジャガ芋やサツマ芋にはビタミンCが豊富に含まれているので、おやつに焼き芋、なんてすごくいいんですよ。でも電子レンジで作ってしまうと、甘味が十分に出ないのです」

先に述べたようにビタミンCは熱に弱いが、芋類のビタミンCはでんぷんにしっかり抑えこまれているので、加熱しても流出しにくい。酸っぱくて大量に食べられないレモンよりも、ビタミンCの摂取源として、芋類はよほど優秀なのである。

しかし、なぜ電子レンジで焼き芋を作ると甘くならないかというと、芋を甘くする酵素は、55度を超えると働かなくなるから。電子レンジでは一気に食品の内部から熱が入るので、すぐ55度を超えてしまう。その点、石焼き芋はゆるやかに温度を上げていくので甘くなるというわけだ。家庭で焼き芋を作るなら、サツマ芋をアルミホイルで包んでオーブントースターなどで40分から1時間かけてじっくり焼き上げるといい。

おいしいと感じながら食べると、消化吸収がよくなることがわかっている。焼き芋を食べるなら、じっくり加熱して甘さを引き出したほうが、おいしさもアップし栄養の吸収もよくなるわけだ。芋類のビタミンCも水に溶けやすい。切り口から流出するので、丸ごと加熱したほうが栄養の損失が少ない。ただし“ジャガ芋のみそ汁”のように、汁ごと飲むものは切ってから加熱しても問題ない。

■ジャガ芋料理の常識
×切ってからゆでた方が早く火が通る
○丸ごとゆでるか、切った芋はスープにする

切り口からビタミンCが漏れる

ジャガ芋を加熱するときは、皮をむかず丸ごとじっくり火を入れるのが、ホクホクと甘く仕上げるコツ。ビタミンCも逃がさない。しかし、薄切りや短冊切りで切ってからゆでるとビタミンCが流出してしまうのだ。ただし、みそ汁やスープにする場合は別。水に溶けだしたジャガ芋のビタミンCも一緒に飲める。

レタスのバター煮~スープ代わりの野菜の1皿に~
【材料・2人分】
レタス……1個(500~600g)、ブイヨンキューブ……1個、水……1/2カップ(100ml)、塩……少々、こしょう……適量、バター……20g

【作り方】
1. レタスはざくざくと大きめに切る。
2. ふたのぴっちりしまる鍋(できれば厚いもの)に水とブイヨンキューブ、レタスを入れ、塩とこしょうを全体にふりかけバターをのせる。
3. ふたをきっちりと閉めて強火にかけ、蒸気が出てきて沸騰が確認できたら弱火にし、10分ほど煮る。
4. 全体を混ぜてふたをし、さらに10分ほどレタスが軟らかくなるまで煮る。

 

太陽の野菜スープ~冬は温めて、夏は冷やして~
【材料・2人分】
玉ネギ……1/2 個(90g)、パプリカ赤……2個(300g)、ニンジン……2本(360g)、トマト……1個(150g)、バター……30g、水……2カップ(400ml)、ブイヨンキューブ……1個、塩……小さじ1/3、牛乳……200ml、こしょう……適量、生クリーム……100ml
【作り方】
1. 玉ネギは薄切りに、パプリカとニンジンも火が通りやすいように薄く切る。
2. トマトはヘタをとって粗いみじん切りにする。
3. 玉ネギをバターで炒め、透き通ってきたらニンジンとパプリカを加え、さらに炒める。
4. トマトと水、ブイヨンキューブ、塩を入れ、沸騰したら火を弱めて野菜が軟らかくなるまで20分ほど煮る。
5. 野菜が煮崩れるくらい軟らかくなったらミキサーにかけてザルでこす。牛乳とこしょうを加える。味を見て、塩味が足りなかったら足す。
6. 生クリームの半量を加え混ぜ、器に盛って残りのクリームで丸く模様を描く。

豊満美峰子
調理学、嗜好調査などが専門。調理実習や官能評価の授業も担当。『女子栄養大学の500kcal定番ごはん』『家庭料理技能検定に合格できちゃうクッキング本』などの共著書がある。

http://president.jp/articles/-/11307

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