桁違いの収入を手に入れるには何が必要か。「時間家計簿」をつけるとともに、あなたの「得意分野」を棚卸ししてほしい。それには、これまでに自分が「評価されたこと」と、心から楽しいと思える「好きなこと」、その両方のバランスがとれているかを確認してみることだ。
■戦略とは、捨てると同義であることを知っているか?
成功している人ほど、私にこう言葉をかけてくれます。「あなたの人生にとって大事なことは何ですか」と。
私の場合は、先ほども述べたとおり、ファイナンシャル・プランナーとして、いまよりももっと稼ぎたい人が、さらに稼げるようになるためにサポートすることです。そして、「稼ぐ人」になるための思考法をより多くに伝えるための手段として、本の出版を位置づけています。
大事なことが見つかったら、その実現に向けてとことんやりなさいというのも、成功者たちに共通する教えです。そのためには、それ以外のことは捨てる勇気も必要です。限られた人生のなかで、あれもこれもと手を出しても、けっきょくはすべてが中途半端で終わります。
私も「旅館の再生をやってみないか」といったお話をはじめ、各方面からさまざまなお声がけをいただきますが、すべてお断りしています。私の強みは、新規開拓や売り上げ向上のための支援であり、旅館の経営ではありません。自分のやりたいことに忠実でいるためには、むやみに迎合しない覚悟も必要です。
自分のやりたいことの軸を見つけるには、幼少期にまでさかのぼって、自分が得意だったこと、周りから評価されたことを書き出してみるとよいでしょう。学校の先生にほめられたことや、会社の上司や同僚から評価されたことのなかに、自分が極めるべき軸があるはずです。
ただし、まだビジネスで実績を出していない若手社員の場合は、いまは仕入れの時期だと心得て、選り好みせずにいろんな仕事に取り組むことです。ビジネスの評価は他人がするものであり、周囲から評価され、少しずつ大きな仕事を任されていくなかで、自分の得意分野や軸が見えてくるものです。
軸が見つかったら、先ほども述べたように、それを実現するために必要なことをその道のプロに聞きに行きます。ここで捨てる勇気が必要なのは、余計なものを捨てない限りは、教えを請いたい人に会う時間を十分に取ることができないからです。自分の限りある時間はすべて、自分がほんとうに成し遂げたいことのために使うべきです。
■何もしない空白の1日を、意識的に設けているか?
あなたが保険の営業マンであると仮定します。「あと3日で1億円の売り上げが必要だから、なんとか頼む」と上司から言われたら、どうしますか。3日で1億円というのは、一般的な営業マンのノルマの20倍は軽く超えています。
手当たり次第に顧客に連絡して、「保険に入ってくれませんか」と打診するでしょうか。しかし、このようなやり方でノルマを達成することは、まず不可能です。このようなとき、すぐに動きにかかるのは、じつは「稼げない人」です。
私ならすぐには行動しません。最低でも6時間は部屋にこもって考えます。過去2年分の手帳を開いて、訪問した顧客の顔を1人ひとり思い出しながら、どの顧客であれば1人で1億円の保険料を払ってくれるかに考えを巡らせます。
「誰であれば、私の頼みを聞いてくれるだろうか」。こういった発想ができるのも、すでに自分が相手の評価軸で行動してきて、相手からの信頼を獲得しているからです。このようにして確実に1億円を売り上げるための戦略を練るのです。
これは私が保険の営業マンだった頃に、実際にあった話です。このときは、ある銀行の副頭取に相談したところ、その場で1億円の保険料を出してくれました。
成功する人はみな、何をすべきか、何を捨てるべきか、1人になって考えるための時間を設けています。孤独であるだけでなく、脳に汗をかく大変な作業ですが、自分の頭で考えることでしか自分が進むべき道は見えません。しかし、自分の軸は何で、現状の問題は何かを突き詰めて考えていくと、次にやるべきことが見えてくることも確かです。そうすることで自然と不安も消えます。
また、考え抜いても答えが見つからないときは、マッサージを受けに行くとか、映画を観に行くとか、別のことをやってみることをお勧めします。場所を変えたり、視点を変えたりすることで、ふといいアイデアが思い浮かんだり、「自分はなんて小さなことで悩んでいたのだろう」と気持ちが軽くなるものです。
1週間、1カ月の予定をぎっしり詰め込むのでなく、1人になってふと立ち止まる時間も組み込む。「稼ぐ人」になるには、メリハリの利いたスケジュールの組み方も習得したいものです。
■人生は、偶然で成り立っていることを知っているか?
チャンスというのは、来る人のところには次々訪れますが、来ない人のところにはまるで来ないものです。その違いは何か。チャンスをつかむためのアンテナを張っているかどうかです。
自分の未来は、過去からの成功や実績の延長線上に訪れるものではなく、偶然に舞い降りてくるものであると私は考えます。あるポジションに抜擢される、大きな仕事を任せられる、キーマンを紹介されるなど未来の成功につながる出来事は、これまでの過去の出来事から1本道でつながっているのではなく、極端な言い方をすれば単なる偶然です。その偶然を磁石のように引き寄せて、キャッチできるかどうかに、「稼ぐ人」と「稼げない人」の分かれ目があります。
とはいえ、過去の実績がまったく関係ないかといえば、それは違います。過去にどれだけ自分と向き合い、ぶれない軸をつくってきたかが、すなわちアンテナの感度になっているからです。
チャンスをつかめる人は、毎日の習慣にも特徴があります。彼らは1日が終わるとき、必ずその日のことを振り返り、1日を決算します。成功したことと失敗したことの理由を分析して、翌日に生かそうとするのです。
さらには、成功した体験を成功パターンとして意識に刻み込み、日々の生活に組み込んでいきます。つまり、自分にとって最適な時間の使い方や人間関係を、日々アップデートしているのです。それによりアンテナは、チャンスに対してますます敏感になっていきます。
一方で、チャンスをつかめない人というのは、1日を振り返るという作業をしないため、いつまで経っても行動が修正されないままです。価値のないセミナーに参加したり、レベルの低い人とばかり一緒に過ごしたり、時間の無駄であるばかりか、アンテナを立てる場所が間違っているのです。これではチャンスが舞い降りてきても気づくことはできません。
チャンスをつかみたいのであれば、自分がほんとうに成し遂げたいことのために、1日1日を大切に生きる。真剣に生きたその1日1日、その一瞬一瞬に未来への可能性が宿るのです。
■お金は、体験を買うためにあることを知っているか?
人間の強さは、体験の質と量で決まるといっても過言ではありません。目の前に困難が立ちはだかったとき、逃げないで立ち向かうことができるか、問題の解決策を自分で見出すことができるかは、これまでの人生でどれだけの体験を積んできたかに比例します。
体験を積めば積むほど、困難を乗り越える力は強くなります。体験というのは、学びにつながる仕入れです。仕入れの数が多ければ多いほど、ひとつの見方だけでなく、いろんな視点から物事を見ることができます。考える力や問題解決能力が高くなるのは当然のことでしょう。
一方で、仕入れの絶対数が少ない人は、物の見方がかたよりがちです。答えや解決策を少ししか見つけることができないので、いつも不安を抱えているだけでなく、困難にぶつかるとたちまち思考停止します。あるいは困難にぶつからないように、はじめから公務員などの安定したポジションを求める人もいます。安定への依存から、自ら考えることも行動することも放棄してしまえば、生きる力はますます弱まっていきます。
体験をいかに積んでいくかは、幼児期からの親の教育にも大きく影響される部分でしょう。たとえば、幼い頃から諸外国に触れる機会があったとします。貧しい国で貧しい子どもたちを見たときに、単に「食料がなくてかわいそうだ」と思うのか、「マフィアに売られた子どもたちだ」という視点で、社会の裏側まで捉えられるのか。さらに、日本にも子どもを売る時代があったことを知っていれば、また違った見方にもなるはずです。体験を通じた多様な視点は、自立した人間を育てるための肥やしにもなります。
「稼ぐ人」に話を戻すと、稼ぐ人たちのなかには、意識的に体験を積み重ねようとする人が多いように感じます。レストランやホテルでは、ワンランク上のサービスを受けてみる。逆に貧しい国で現地の人と同じ食べ物を食べてみる。自分のためになる体験は、お金で買うことも必要であることを知っているのです。
いろんな世界を見れば、自分の悩みなどちっぽけなものであることが実感できます。そうやって培った問題解決能力と人間的な魅力が、「稼ぐ人」の強さの理由であり、源泉なのです。
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