◇レイアウトに物語性
新潟市中央区の市水族館「マリンピア日本海」が、改修工事を終えて今月15日にリニューアルオープンする。施設の老朽化のため、昨年9月から休館し、約33億円をかけて大規模改修をしていた。里山や潟など新潟の自然を再現した屋外展示を新設する一方、「新潟から世界の海へ」をテーマに生物の展示方法を一新した。市文化政策課は「何度来ても新しい発見が生まれる水族館に生まれ変わった。期待していてほしい」と話す。【山本愛】
同水族館は1990年7月にオープンした。日本海側最大級の水族館として人気を集め、ピーク時の95年には約75万3000人が来場したが、近年の来場者数は平均約50万人ほどだった。市は今回の改修によって「年間約60万人にまで来場者を増やしたい」と集客増を見込んでいる。
改修でこだわったのは、新潟市の魅力を体感できる施設づくりだ。入り口に続くアプローチの右手に広がるのは、新設した屋外展示「にいがたフィールド」(約3380平方メートル)。以前は単調な芝生のみの空間だったが、鳥屋野潟など市の代表的な水辺や自然を再現。角田山に見立てた丘や、全国的に珍しい佐潟などに代表される砂丘湖の他、小川や田んぼなども作った。同館管理課の大和淳さん(48)は「季節に応じて違う表情を見せてくれる空間となり、いつ来ても違った風景を楽しめるはず」と話した。
館内も大きく変わった。「日本海」を中心としたコンセプトは従来と変わらないが、生物の展示順を変更。波打ち際から浅瀬、深海、そして世界の海ヘとつながるよう、ストーリー性を持たせた。また、既存の水槽を生かし、水槽内の岩や砂などのレイアウトを一新した。館内の壁の色を以前の白から紺色に変更し、照明の明かりを以前よりも暗くしたことで、深い海の雰囲気を演出し、水槽内もより見やすくした。
バリアフリーにも力を入れた。これまで1基だったエレベーターを3基に増設。イルカショーを楽しめる「ドルフィンスタジアム」に車椅子席を設けた。
新しい展示生物も増えた。個体数は約2万点と変わらないが、種類を450種から500種に増やした。巨大水槽「日本海大水槽」では、ハンマー形の頭を持つことで知られる「アカシュモクザメ」が仲間入り。また、飼育が難しいために以前は試験的な展示に限っていた「のどぐろ」の愛称で知られる「アカムツ」もお目見えする。
改修工事のため、県外の水族館に預けていたマイワシやバイカルアザラシ、ラッコなども同館に続々と帰ってきており、オープンに備える。大和さんは「新潟市の魅力をより知ってもらえる施設に生まれ変わった。ぜひ足を運んでほしい」と話している。
◇学習機能設備も充実
同館ではリニューアルに伴い、体験しながら生物の生態系を学べる学習機能の設備も充実させた。来場者が手で触れて見て学べる「ハンズオン展示」を館内約30カ所に設置。職員のアイデアから生まれたという、コブダイの幼魚と成魚の体の変化を楽しめる「パラパラ魚漫画」や、クイズを楽しみながら生物の生態を知ることのできるコーナーもある。また、飼育員が講師となって海の生物にまつわる実験や観察プログラムなどが楽しめる実験室「アクアラボ」も新設した。
9月以降には、アシカやペンギンを間近に見ることができるように、柵のない広場で芸を披露する「ひれあしパフォーマンス広場」も楽しめる。同館は「大人も子どもも、楽しみ遊びながらであれば学ぶ感動も大きい。世代を超えて家族で楽しんでほしい」と話す。
同館の開館時間は午前9時〜午後5時。入場料は大人1500円、小・中学生600円、幼児200円。
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