日本の国際競争力を高める上で、豊かな語学力と幅広い視野を備えた人材が求められている。政府は教育環境の整備を進めるべきだ。
安倍首相直属の教育再生実行会議が、海外で活躍できる人材の育成に向け、小学校から大学に至るまで、英語教育の拡充が必要だとする提言をまとめた。
注目したいのは、小学校で教える英語を正式な教科とするよう検討を促した点だ。
小学校では2011年度から「外国語活動」が必修となり、5、6年生が週1回、英語を学んでいる。英語に親しみ、慣れるのが目的で、中学校のような文法の指導はしない。初歩的な会話やヒアリングに重点を置いている。
正式な教科ではないため、教科書は用いない。教員養成課程で英語の指導法を十分学んでいない学級担任が教えることから、指導力に不安を抱える教師も多い。
教科へ格上げすることで、教科書を作り、授業の質向上につなげようという狙いは理解できる。
ただ、課題は多い。
正式な教科にすると、成績評価を行うことになる。その際、英語に親しむための授業で、テストによる評価はなじむだろうか。文法学習まで加わるようになれば、小学校の段階から英語嫌いになる子が出てくるかもしれない。
小学校教師の語学力を高めるのも一朝一夕にはいくまい。研修の充実はもちろん、英語を専門とする専任教師が教えたり、外国人指導助手とチームで指導したりする体制を整えることが大切だ。
他のアジアの国・地域を見ると、中国や韓国、台湾では、小学3年から英語を教えている。早い時期から学習を始めた方が身に着くと主張する専門家もいる。
一方、母国語である日本語の習得を優先すべきだとの意見も根強い。実施学年を引き下げるかどうかは今後の争点となろう。
提言は、大学教育にも言及し、「グローバル化の遅れは危機的状況にある」との認識を示した。
日本人の海外留学生は減少傾向にあり、日本で学ぶ外国人留学生も欧米諸国に比べて少ない。英語を使った講義を増やすなど、日本人学生を鍛え、外国人留学生を呼び込む取り組みが欠かせない。
提言は、英語を母国語としない人の英語力を測る「TOEFL」などの外部検定試験を、大学入試や卒業認定の判断材料に活用することも打ち出した。実践的な語学力の習得を促す観点から、検討に値するのではないか。
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/life/education/20130528-567-OYT1T01424.html










