高校生や大学生の就職カウンセリング・セミナーや小・中学生への講演なども行う、コーチングのプロ・石川尚子氏。日常のさまざまな場面での声かけが、子どもの思考癖に影響を与えているという。コーチングの視点から、子どもが前向きな思考を形成するうえで、保護者が心がけたいことを伺った。
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「コーチング」は、自分とコミュニケーションをとったあとの相手が、「やってみよう!」という気持ちになって行動し、成果を上げることをサポートします。思考癖が、「やりたくない」「どうせできない」「つまんない」「めんどくさい」になっていると、なかなか、「おもしろそう」「やってみたい」「できるかも」「やってみよう!」とはなりません。
わたしの母は非常に心配症でした。新しいことをやる時には、必ず、「大丈夫? できる?」と聞いてきました。うまくできなかったら、「ほら、やっぱり、そんなに簡単にいかないんだから」となぐさめ(?)、「次もうまくいかなかったら、どうするの?」と明るくない未来をイメージさせました。少しでも咳きこもうものなら、「風邪? 今日はやめたら」と用心させるタイプです。
わたしを大事に思ってくれたからこそ、と思いますが、おかげで、「失敗はしてはいけない」「簡単に目標は達成できない」という枠を、コーチングに出会うまでの長い間、持ち続けたように思います。
一方で、自分のやりたいことにどんどんチャレンジし、自己肯定感を持って生きている人の保護者は、往々にしておおらかな人が多いように感じます。
「大丈夫! あなたならできる」
「やってみないとわからないね。できるからやってごらん!」
「うまくいくって、信じているよ!」
そんな声かけが、どれだけ相手を前に向かわせるでしょう。子どもには、「心配」する言葉よりも、「信頼」する言葉をたくさんかけてあげたいものです。子どもへの信頼こそが、前向き思考の子どもを育てるベースだと思うのです。
ベネッセ教育情報サイト
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