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裁判員のケア手厚く ストレス障害、経験者や専門家要望

「心が弱いのは私だけなのか」。福島地裁郡山支部で裁判員を経験した60歳代の女性が18日、裁判で見た遺体の画像が原因で急性ストレス障害(ASD)になったことが明らかになった。

仙台地裁でも制度導入後、100件近い裁判員裁判が開かれているが、女性が投げかけた問題に対し、同じ経験者や専門家からは、手厚いサポートを望む声が上がった。

女性が裁判員として関わったのは、福島県会津美里町の夫婦を殺害しキャッシュカードなどを奪ったとして、強盗殺人罪などに問われた男の裁判。今年3月に選任されてから不眠や、嘔吐(おうと)をするようになり、同月22日にASDと診断された。代理人弁護士に対し、「守秘義務がどこまであるのか分からず、周囲に相談できなくてつらかった」と打ち明けたという。

裁判員経験者は、24時間態勢の「裁判員メンタルヘルスサポート窓口」を利用できるほか、臨床心理士らによる面談のカウンセリングを5回まで無料で受けられる。だが、少年に全国で初めて死刑判決を言い渡した裁判(控訴中)で裁判員を務めた男性は「5回の無料相談では足りない。その先のケアまで考慮してほしい」と訴える。

制度導入後、仙台地裁でも今年2月末までに95件(被告人数ベース)の裁判員裁判が開かれた。月2~3回のペースで行われており、殺人や強盗致傷罪などの審理が中心で、ASDと診断された女性のように、体調を壊すケースが出てきても不思議はない状況だった。女性の代理人弁護士は「そもそもサポートの仕組みがないと成立しない裁判員制度そのものがおかしい」と主張する。

制度が浸透する中、裁判員同士の交流の場を作る動きも出てきている。東京地裁で裁判員を経験し、昨年8月に経験者の全国的交流組織を発足させた田口真義さん(37)は「裁判員を経験しなければ分からない悩みがあり、経験者同士だからこそ、分かり合えることがある」と意義を強調する。

法務省の有識者検討会が3月、裁判員の負担軽減などを盛り込んだ報告書案をまとめた。こうした裁判員経験者の声を、制度改正に生かすべきだ。

◇守秘義務説明丁寧に

元裁判官の川上拓一・早稲田大教授(刑事訴訟法)の話「公開の場である法廷での審理なので、実際には守秘義務に当たる部分は少ないのだが、『審理のすべてが守秘義務の対象』と誤解している人も多いのではないか。職業裁判官が裁判員に守秘義務のことを丁寧に説明することが大切だ。現在は東京、大阪、名古屋のみの直営相談室を全国に設けることも必要だ」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130419-00010000-yomidr-hlth

 

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コメント(1)

  1. 家族にパニック障害を持つ者がいますので、この問題に非常に関心があり、
    裁判員制度開始直前の08年10月29日に開催された東京商工会議所と最高裁の共催による
    裁判員制度の説明会に参加して、質問時間切れとなったために閉会後個別に質問を行い、
    解説ご担当の最高裁判事殿から、読売・朝日・日経の法務担当記者の方がメモを取っている前で、
    下記の回答をいただきました。
    【質問】裁判員へのメンタルケアや、職務が原因で生じた精神的な変調発生などの
    損害の補償については非常勤の国家公務員として扱われるというが、
    裁判員を務めたことと、損害発生との因果関係の立証責任を裁判員が負うとされており、
    そこまでの負担はできないので、就任を辞退したいと申し出た場合に認められるか。
    【回答】 その場合は過料を科すことなく、辞退を認める。
    当時のマスコミは、裁判員制度に全面的に賛成の立場でしたから、
    都内の上場企業を中心に500社の担当者が集まった、この説明会自体が、
    全く取り上げられず、上記質問と回答についても記事にはなっていません。
    その後もこの問題について、突っ込んだ議論があまりされて来なかったのが不思議です。
    ストレス疾患が発症してからのケアではなく、裁判員就任前の選別を慎重に行う方が、
    今回のような気の毒なケースを防げると思いますが如何でしょうか。

    返信

    Lindhawk

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