日本は豊かな海に囲まれた世界有数の魚食大国です。川魚から海魚まで、多種多様の魚貝類を食します。俗に言う「青魚」「赤魚」や「赤身」「白身」は、外観や肉質の色によるもので、魚類上の区分ではありません。(いいなクラブ)
米・魚を中心とする日本人の食生活は、肉食が増え変化してきていますが、現在でも、動物性タンパク質の中では魚貝類を最も多く摂取しています。品目別の1人当たり年間消費量は、魚貝類51.5 、豚肉18.9 、鶏肉16.1 、牛肉9.6 となってます(農林水産省「食料需給表」平成23年概算値)。
近年は、魚のタンパク源だけでは無く、DHA・EPA・カルシウム・タウリンなどの成分が、生活習慣病の予防につながることから、魚食が見直されています。一般的に、魚は名称だけではなく、「青魚」「赤身魚」「白身魚」などと呼ぶことも多いと思います。魚の色の分類を整理してみましょう。
■外観による分類
【青魚】イワシ、サバ、アジ、サンマ など… 背中が青または黒っぽく、腹側が白い魚(この模様は海の表層近くを泳ぐ魚の保護色といわれる)。比較的小型で、大量に漁獲される大衆魚を指す場合があります。青魚には、DHA・EPAと呼ばれる不飽和脂肪酸が豊富に含まれます。寿司店で使われる専門用語で「光もの」と呼ばれる魚があります。これは、皮の光った青魚(コハダ、サバ、アジなど)を指します。
【赤魚】アコウダイ、メヌケ 、キンメダイ、キンキなど… 赤魚は流通用語として使われる。体色が鮮紅色の深海魚で、比較的大型。身が淡白で上品な味が特徴です。
■肉質の色による分類
生物の筋肉は、使われるほど酸素を必要とします。酸素は赤い血色素タンパク(ヘモグロビン)によって筋肉中の赤い色素タンパク(ミオグロビン)に運ばれ、この含有量で肉質の色(赤身・白身)は決まります。
【赤身魚】マグロ、カツオ、ブり、カンパチ、サバ、イワシ など… 広大な海水域を泳ぎ回っている、遠洋・近海回遊魚が多い。回遊魚は常に速いスピードで泳いでいるので、長時間活発に動かせる筋肉が必要です。ミオグロビンは、筋肉を動かすための燃料となる酸素を貯蔵してくれます。また酸素を運搬する働きのある血液中の色素タンパク質「ヘモグロビン」も豊富に含まれています。この二つの色素タンパク質を多く含む筋肉赤色筋が多いので身が赤い色になるのです。鉄分や脂肪分が比較的多く、味が濃厚であるものが多いのが特徴です。
【白身魚】 カレイ、タラ、スズキ、ヒラメ、タイ、サケなど… 生まれた海域からほとんど動くことなく、底層や淡水などに生息する魚が多い。獲物を捕える時のみ瞬時的に白色筋(速筋)という筋肉を使います。この筋肉を動かすのに燃料として酸素を使わないため、ミオグロビンはほとんどありません。これにより、身は白っぽくなります。ちなみにサケの身の赤い色素は、エビやカニにも含まれる「アスタキサンチン」というカロテノイド系(黄‐赤色系)の色素によるもので、赤身魚とは別物になり、白身魚に分類されます。白身魚の特徴は、血合いの肉はほとんどなくあっさりとした淡白な味で、低脂肪であるということ。また、身が柔らかく消化にも良いので、病人食や離乳食に適しています。
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青魚、赤魚、赤身魚、白身魚、それぞれに栄養上の特徴がありますので、いろいろな種類の魚をバランス良く食べれば、美味しく健康的な食事が摂れることでしょう。
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/life/snk20130322559.html