[ カテゴリー:医療, 生活 ]

高齢者、餅の窒息事故に注意 必ず誰かと一緒に食べる

応急手当ては背部叩打法

 

年末年始に食べる機会が増える餅。この時期には毎年、餅を喉に詰まらせ、救急搬送される高齢者のニュースが後を絶たない。餅による窒息事故を防止するための注意事項、もし詰まった場合の応急手当てをまとめた。(清水麻子)

 

 

◆チョークサイン

東京消防庁によると、平成19~23年の5年間で、東京都内で餅や団子などを喉に詰まらせて604人が救急搬送されている。月別で最も多いのは1月の220人。次いで12月が90人で、1月と12月で全体の半数を超える。救急搬送された人の大半は飲み込む力が低下する60歳以上の高齢者だ。

昭和大学病院救命救急センター(東京都品川区)の三宅康史教授(52)は「餅が取れなければ命を落とす可能性が高い。高齢者はなるべく誰かと一緒に同席し、細心の注意を払いながら食べてほしい」と警鐘を鳴らす。

三宅教授によると、餅を食べる際の注意点は、(1)1人で食べない(2)おしゃべりは餅を飲み込んでから(3)一口の量を多くせず、ゆっくりとよくかみ、唾液と混ぜてから飲み込む(4)酒を多量に飲みながら餅を食べない。

もし詰まって苦しがってしまったら、高齢者は必ず周囲に窒息を知らせる世界共通のサイン「チョークサイン」で知らせることが大切だ。周囲の人はまず、本人に強くせきをさせる。それでも餅が出ない場合、「詰まって5、6分で意識を失い、その後、死亡に至るか、助かっても脳などに後遺症が出る」(三宅教授)という危険な状態になる。

周囲の人は声を掛け、呼び掛けに返事がない場合は救急車(119番)を呼ぶ。救急車が到着するまでの間、「背部叩打法(こうだほう)」と呼ばれる応急手当てで餅を出す努力をする。「背中をたたく際、かなり強く、しっかり。間を開けずに4~5回迅速にたたくこと」(三宅教授)が必要だ。

◆救急車ためらわず

意識がなくなり、呼吸をしていなければ、心肺蘇生(そせい)法の心臓マッサージ(胸部圧迫)を1分間に100回以上のリズムで30回、人工呼吸2回の組み合わせを1セットとし、5回繰り返す。餅が喉に詰まっていた場合は人工呼吸ができないため、心臓マッサージだけ行う。心臓マッサージなどの方法は、日本赤十字社(東京都港区)のホームページ(http://www.jrc.or.jp/)の「とっさの手当・予防を学びたい」のタブから心肺蘇生法で確認できる。

「救急隊は喉から餅などを取り出す器具を持っており、到着次第、取り出し作業に入る。強くせきをしても出ない場合はためらわず救急車を呼んで」と三宅教授は話している。

 

「小さく」「薄く」「湿らせる」調理で

 

餅による窒息事故を防止するための餅の調理方法について、管理栄養士、山内寿子さんは「小さく切ることはもちろん、厚さも薄くしてあげるといい」と話す。また、乾いているとくっついて危険なため、焼いた後には湿らせる。汁物の中に入れたり、大根おろしなど水分のあるものとあえたりするのもおすすめ。

きなこや焼きのりなどは喉につきやすい。のりは、だし汁でのばしてつくだ煮のような状態に煮て、あえ衣にしてもいい。きなこは、だし汁としょうゆ、あるいはハチミツなどでのばしてつけるなど水分をプラスする。

山内さんは「常に喉を湿らせることが必要で、お茶などを前後に飲んだり一緒にとろみのある水分を取って」とアドバイスする。

http://sankei.jp.msn.com/life/news/121224/trd12122407460004-n1.htm

http://sankei.jp.msn.com/life/news/121224/trd12122407460004-n2.htm

http://sankei.jp.msn.com/life/news/121224/trd12122407460004-n3.htm

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