最悪想定ならがんリスク増=疫学的には「可能性小さい」WHO,原発事故影響報告
世界保健機関(WHO)は28日、東京電力福島第1原発事故による住民らへの健康影響の予測をまとめた報告書を公表した。報告書は最悪の想定を前提に健康リスクを分析したもので、疫学的にはがんが増大するリスクは小さいとする一方、最も影響を受けた地域ではがんのリスクが一定程度増大するなどとも指摘した。
報告書は、避難地域に4カ月滞在し、事故当初の食材のみを食べ続けたと仮定するなど、最悪の想定の下に分析。また、2011年9月までのデータを基に、事故による住民の被ばく線量を最大限見込み、低線量被ばくでも線量に応じて健康影響が生じると仮定した。その上で、白血病、乳がん、甲状腺がんなどに罹患(りかん)するリスクを評価した。その結果、事故による放射線によって甲状腺がんなどの増加が確認される可能性は小さいとし、福島県外や日本国外では発症リスク増加は無視できる水準だと述べた。
しかし、最も放射線量の高い地域で、事故当時1歳の女児が被ばくしたと想定した場合、89歳までに甲状腺がんになる確率は通常の0.77%から、1.294%に上昇すると推定。この場合、甲状腺がんに罹患するリスクは最大70%増大するとした。
また、同地域で1歳の男児が生涯に白血病にかかる確率は通常よりも7%増加。同地域で1歳の女児が生涯に乳がんにかかる確率は通常よりも6%増加すると分析した。さらに同地域で1歳の女児が生涯に固形がんにかかる確率は通常よりも4%増加するとした。
次いで影響を受けた地域では、生涯の発症リスク増加は最も影響を受けた地域の約半分と指摘した。
http://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/TKY201302260549.html