原子力規制委員会が東京電力柏崎刈羽原子力発電所の事故発生時の放射性物質拡散シミュレーションを公開したのを受け、原子力規制庁が25日、急遽(きゅうきょ)、県庁を訪れ、シミュレーション結果ついて説明した。改めて、国が防災対策を重点的に行う目安の範囲としている半径30キロについて変えない方針を伝えたが、拡散の範囲が目安を10キロも上回り40キロ地点まで影響が及ぶことを重く受け止め、県は今後、8月に見直した原子力防災計画を再修正することを決めた。
◆規制庁「30キロ範囲」
来県した原子力規制庁の金子修一原子力防災課長は、放射性物質の拡散が原発から40・2キロ地点(魚沼市)に達したことについて、「原発の規模も含めかなり大きく見積もった結果だが、少し幅を持って受け止めてほしい。ほとんどのシミュレーションはおおむね30キロの範囲だ。30キロ目安は変える必要はないと考えている」と述べた。
応対した飯沼克英・県防災局長は事前説明がなく周辺自治体で困惑しているのを踏まえ、「一つのシミュレーションに過ぎないと理解しているが、立地自治体、周辺自治体にとって影響は大きい。公的機関が公表する以上、一定の意味を持つわけだから十分に配慮もしてほしい」と求めた。金子課長は「できるだけ早く県内自治体向けに説明会を開きたい」と答えた。
◆知事「最悪も考慮」
説明に先立ち、泉田裕彦知事は同日の会見で「魚沼市は豪雪地帯であり、避難のあり方が課題になってくる。何らかの対策をとることが必要だ」と述べ、原子力防災計画を再修正する考えを示した。同計画は今夏に見直したばかりだが、最悪の拡散シミュレーションも踏まえる。
柏崎刈羽原発の原子炉は全7基。合計出力は約820万キロワットに達し、一般家庭約235万世帯が使う電気を作る世界最大の原発。約86万世帯の県を参考にすると、電気の供給能力は県約3県分に相当する。
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