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にいがた人模様:「新潟県満州開拓史」を自費出版、高橋健男さん /新潟

◇記録で歴史を引き継ぐ--高橋健男さん(65)
インタビューした県出身の旧満州(現中国東北部)開拓者は100人以上。県庁に眠っていた引き揚げ直後の資料を掘り起こし、10年5月、県出身者が所属した65開拓団をすべて網羅した初めての記録「新潟県満州開拓史」を自費出版した。B5判で約750ページに及ぶ大作だ。
きっかけは約10年前にさかのぼる。教員時代、中国の農村開発を援助する里親事業に参加したのをきっかけに、中国の歴史を勉強し直していると、日本が中国東北部を占領して建てた「満州国」に目が留まった。
新潟港は当時、東京と旧満州の首都・新京(長春)を結ぶ最短航路で栄え、開拓団を送り出した地でもある。「そういえば、近所に満州から引き揚げた人がいたな」。手記をもらい、読んでみると、自分の無知に衝撃を受けた。「もっと知りたい」と思ったが、県の全容がつかめるような資料はどこを探してもなかった。
勤務先の中学校の授業では満州開拓についてほとんど触れられていなかった。「歴史を引き継ぐため、まずは確かな記録を残しておくべきではないか」。当事者は高齢化している。焦りにも似た感覚で調査を始めた。
旧満州国軍の反乱軍とロシア軍に襲撃され、約650人のうち約600人が命を落とした清和(せいわ)開拓団や、「降伏は恥」と教えられ、集団自決した哈達河(はたほ)開拓団--。元開拓者と中国を慰霊訪問するなど時間をかけて肉声を集めた。
09年度に厚生労働省の「身元未判明孤児肉親調査」調査員に任命された。元開拓者の80代男性に続き、県内2人目。中国残留者の2世、3世の可能性がある人について照会があると、関係のある開拓団がないか調査する。「終戦から65年以上たった今も続く問題」と実感させられる時でもある。
「満州開拓民が加害者になったのも被害者になったのも、すべて国策によるもの。庶民はそれを知らなかった。ひとつの考え方しか許されず、個人の判断力が奪われてしまうと、こういう悲劇は繰り返される。次の世代への教訓です」【黒田阿紗子】
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■人物略歴
◇たかはし・たけお
見附市生まれ。中学校の英語教師を務め、06年、旧栃尾市立秋葉中学校長で定年退職。08年に自費出版した「満州開拓悲史」は10年、第13回日本自費出版文化賞で研究・評論部門賞を受賞。長野県阿智村に全国初となる「満蒙開拓平和記念館」の建設を目指す準備会(0265・43・5580)の協力会員。

2月13日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110213-00000107-mailo-l15

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