もうすぐ忘年会のシーズン。友人や会社、取引先などとお酒を飲む機会が増える人が多いだろう。お酒の席といっても、基本のマナーを守りながら飲み過ぎにも気をつけ、楽しい時間を過ごしたい。
◆気配りで
生活総合情報サイト「All About」の暮らしのマナーガイド、諏内えみさんは「宴会でも基本のマナーを守るのが大切です」と話す。
まずは席順だ。入り口から遠い方が上座。上司やお客さまが座る席になる。諏内さんは「床の間がある場合、床の間に一番近い席が上座です。ただ、店の作りによっては入り口近くに床の間がある場合がありますが、上司やお客さまは入り口のそばには座らせないで」とアドバイス。幹事や若手社員らは入り口近くに座る。
取引先との宴会の場合、スーツのジャケットは乾杯が済んで、「お楽になさってください」と言われてから脱ぐ。若手社員らは上司や取引先の人が脱ぐまで脱がない。
飲み物は空になる前に次をオーダーする気配りをする。「つぎ足すときも一言、『つぎ足していいですか』と声を掛けて」と諏内さん。つぐときは順手でお酒を持つ。
料理を取り分けるときに注意したいのが逆さ箸だ。諏内さんは「見栄えが悪く、衛生的にも悪い。必ず取り箸でいただきましょう」。
◆話題にも注意
宴会の場とはいえ、避けた方がいい話題もある。「政治、宗教、家族の話はしないのが基本」(諏内さん)。家庭がうまくいっていない人がいるかもしれないため、本人が家族の話をするまではしないほうがいい。
会社の忘年会などでは苦手な上司や先輩の隣の席に呼ばれることもある。諏内さんは「お酌をしたうえで、『こんな良いお席、私にはもったいないです』と謙虚な姿勢を示せば元の席に戻りやすいですよ」。
また、苦手な食べ物や飲めないお酒を勧められたときには「ドクターストップがあるので」などユーモアを交えて断るといいという。場の空気を壊さないように振る舞うのが大切だ。
女性の場合、服装にも気をつける。和室などで靴の脱ぎ履きがある場合は、タイトスカートやミニスカート、ブーツは避ける。「セクハラを招かない服装をすることも大事」と諏内さん。においのきつい香水も食事やお酒の席にふさわしくないので、控えめにする。
二次会に行かない場合には幹事に伝えておく。また、宴会の翌日には幹事にお礼を言う。諏内さんは「宴会だから無礼講ではない。マナーや礼儀を守って楽しい飲み会にしてほしい」と話している。
■二日酔い対策は「適量知り飲み過ぎない」
お酒で気をつけたいのが二日酔いだ。日本健康教育振興協会の代表理事で脳神経外科医の菅原道仁医師は「自分の適量を知り、飲み過ぎないこと。これに尽きます」。
二日酔いの原因の一つとされるのがアセトアルデヒド。アルコールが分解・代謝される過程でできる物質で、二日酔いの症状を引き起こす。人は体内にアセトアルデヒドを分解する酵素を持っているが、この酵素の強弱がお酒に弱いか強いかに影響する。「最近は飲酒の記録を付けられる携帯電話のアプリもある。上手に利用して自分の許容量を知って」と菅原医師。
また、空腹での飲酒は避け、水分も十分に摂取する。アルコールには利尿作用があり、菅原医師は「お酒と同じ量の水を飲むようにして脱水状態を防いでほしい」。スポーツドリンクでもいい。「塩分や糖分は体内への吸収が良いので、アルコールの血中濃度が薄まる」(菅原医師)。反対に、お茶やコーヒーはカフェインが入っていて利尿作用があるので避けた方がいい。
人には無理にお酒は勧めない。菅原医師は「おせっかいはやめて、それぞれのペースでお酒を楽しんでほしい」とアドバイスする。
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/life/medical/snk20131129538.html