秋は果物が美味しい季節。柿でもぶどうでも、最近は種なしの品種が増えてきたけれど、種をはき出しながら食べるのもまたオツなものだ。
ところで、こうした果物の種をうっかり飲み込むと、盲腸になると昔から耳にする。盲腸とはつまり虫垂炎のことで、みなさんの周囲にもきっと手術経験者がいるだろう。果たして、この噂は事実なのだろうか? 新宿ライフクリニックの須田隆興先生に聞いてみた。
「これはロジックとしてはあり得ると思います。ただ、実際に果物の種を飲み込んだことで虫垂炎を起こしたという報告例は、ほとんど見当たらないのが現実です」
実例がなくても可能性はある。これは一体どういうことだろう?
「虫垂炎というのは盲腸の端に位置する小指ほどのサイズの突起部分が、嫌気性菌と好気性菌の複合感染によって炎症を起こす症状のこと。その原因の多くは、盲腸の管が糞石によって詰まってしまうことで発生するとされています。糞石とはウンチや粘液が固まった物質で、これが盲腸の管を詰まらせることで感染症を起こすわけです。ですから理屈からすれば、もしピーナッツや果物の種が完全に消化しきれずにここに紛れ込めば、管をつまらせる原因にはなり得るでしょう」
糞石が虫垂炎の原因になるなら、果物の種にかぎらず未消化の食物が同じ症状を引き起こすことは、理論上あり得ると須田先生は解説する。これは気をつけなければ…と思ったが、「可能性としてはかなり低いですから、あまり神経質になる必要はありません」と須田先生。ちょっと安心?
ところで、盲腸は誰もがいずれ患うものという説が一部にある。幸いにして筆者は今のところ未発症だが…これは時間の問題なのだろうか!?
「最近は抗生物質の質が向上したこともあり、虫垂炎に至る前に症状が抑えられ、むしろ発症しない人の方が多いようですよ。ですから、腹痛など異変を感じたら、早めに医師にかかることが大切です」
うん、こちらも一安心。安心して秋の味覚を堪能しよう。
(友清 哲)
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