独立行政法人・産業技術総合研究所北海道センター(札幌市豊平区)と農薬メーカー「ホクサン」(北広島市)などが、遺伝子組み換えイチゴを原料とした犬向けの医薬品を開発した。同センターによると、遺伝子組み換え技術を使った医薬品は数多く販売されているが、植物自体を原料とする医薬品の商品化は、世界初という。
医薬品は、犬の歯肉炎軽減薬「インターベリーα」。犬の体内では、病原体が侵入した際、体の免疫力を高めるたんぱく質「イヌインターフェロンα」が作られる。同センターなどは、犬の遺伝子をイチゴに組み込み、イチゴの中でイヌインターフェロンαを作り出すことに成功した。
遺伝子組み換え技術を使って医薬品を作る場合、大腸菌や動物の細胞を大量に培養し、たんぱく質を抽出するのが一般的。同センターなどの技術では、植物工場でイチゴを栽培し、凍結乾燥(フリーズドライ)を経て粉末を薬に利用するため、細胞や細菌の培養、たんぱく質の抽出といった手間が省け、大幅にコストを削減できるという。
安全性と効果が確認され、10月中旬、農林水産省から動物用医薬品として販売許可が出た。ホクサンでは、年明けから全国の動物病院向けに、年間約3万頭分の出荷を見込んでいる。
同センターでは「さらに研究を進めて、ヒト向けの医薬品開発につなげたい」としている。
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