天文17(1548)年創業の県内屈指の老舗酒蔵、吉乃川(長岡市)が、スマートフォン(高機能携帯電話、スマホ)を商品にかざすと画面に「日本酒美人」などが飛び出る企画を日本酒業界で初めてスタートさせた。食文化や酒類の多様化などを背景に若者の日本酒離れが進む中、同社は急速に普及するスマホを入り口に地酒の魅力を訴えたいとしている。
◆ラベルにかざし
吉乃川が採用したのは「日本酒美人AR(オーグメンテッド・リアリティー=拡張現実)プロジェクト」と銘打った企画。スマホにアプリ(応用ソフト)をダウンロードし、カメラを吉乃川の対象商品のラベルにかざすと、商品をPRする「日本酒美人」が妖精のようにビン背後から現れるほか、日本酒を注ぐシーンなどの特典映像が楽しめる。対象は、100%県産米で造った「厳選辛口 吉乃川」(720ミリリットル)などの3種類。日本酒美人に投票すると抽選で賞品が当たるキャンペーンサイトに移動し、日本酒の飲み方や酒に合うレシピ情報なども見られる。
◆若者にアピール
利用しているアプリは、ウェブサイトによる販促を支援する新潟発ベンチャーのシーエスレポーターズ(新潟市中央区)が開発した「AR zoom」だ。このアプリは、実際の風景と仮想の情報を重ね合わせ表示する技術、ARを活用したもので、イベントの演出や集客などに役立つ手段として注目が集まっている。同社の荻谷哲エリアマネージャーは「需要が増えるスマホと斬新な販促を実現するARで若者の日本酒離れを食い止めたい」と強調。吉乃川企画部の小野沢浩行係長は「スマホとARを日本酒に興味をもつきっかけの一つとして生かしたい」と期待を寄せている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131105-00000054-san-l15