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割り箸のすすめ

■ 国産割り箸のハイクオリティ

秋葉原では、前回(http://president.jp/articles/-/10930)お話しした「カレー」以外にも、「安い、早い、大盛り」と三拍子そろった若い男性向けの飲食店が圧倒的に多くあります。しかし最近は、若い女性も秋葉原でよく見かけるようになりました。そんな女子が気軽に入れる飲食店はどこにあるのか。そこで、私の研究室に所属する女子学生が中心となって、「おいしい、居心地がよい、秋葉原の魅力を感じられる」女子向けのどんぶりが食べられる店を秋葉原で探す「オトメドン」プロジェクトが進められました。なぜどんぶりなのかは、その女子学生はどんぶりものが大好物という、それだけの理由です。

今年8月に、プロジェクトの成果報告として、調査より作成した飲食店マップと、考案した女子向けどんぶりの披露会を行いました。どんぶり飯は箸を使うので、会場には箸で食せるオリジナル料理を提供するワインバー「0’84」という、秋葉原では珍しいおしゃれな店舗を貸し切りました。その日は店内満員の女子で大盛況だったのですが、参加者から特に喜ばれたのが、ワインバー「0’84」のオーナーでもあり、同じビルの一階に店を構える箸問屋「箸勝本店」から提供していただいた割り箸でした。

私のお気に入りのアーティストがデザインした箸袋に、吉野杉製の割り箸を入れて、各参加者のどんぶりに添えました。私は今もその箸を毎日使っています。一度使った割り箸を使うなんてと思う人もいるかもしれませんが、割り箸は一度きりの使い捨てのものばかりではありません。国産の割り箸であれば、一年間は繰り返し使用できます。

国産の割り箸は、生産工程から外国産とはまったく違うものです。国産の割り箸には、建築用の木材の余った切れ端を使います。命あるものを最後まで使い切るという日本独自の「もったいない」精神がそこにあります。それに対して、外国産の割り箸は、中国やロシアの森林を切り出し製造します。割り箸のために皆伐するわけですから、当然、自然破壊につながります。しかも、早く大量に製造するために、成長が早く加工がしやすい柔らかい木に防腐剤を浸み込ませ、見た目が綺麗な方が高値で売れるので、漂白剤を塗っています。国産の割り箸は、杉やヒノキなど、もともと腐りにくく、抗菌効果を持つ木材を使うので、人体に危険な薬品を使う必要はないのです。

最近の大手飲食チェーン店の中には、割り箸は自然破壊につながるという説明の下、合成樹脂の箸を使いまわしているところがあります。これらの箸は、石油から作ったものですから、それを口にすることによって人体にどれほどの影響があるかは、残念ながら、また検証されていません。ただいま大手飲食店チェーンにて実験中というわけです。お店に通い、それを口にしている人たちに、どのような影響が出てくるか、次の世代あたりで分かると思います。私自身は、お金を払ってまで被験者になるのは気が進まないので、口にはしていません。

このような環境や健康に関わること以外にも、普段から国産の割り箸を使うことには、重要な意味合いがあります。

■割り箸を持って街に出よう

「オトメドン」プロジェクトの発表会の際に「箸勝」からいただいた割り箸は、「両口箸」という両端が細くなっている箸でした。一見、両端が同じ形状なので、どちらを口に入れても良さそうに思えるのですが、そうではありません。片方は自分用ですが、もう片方は神様用であり、命の恵みである食べ物に感謝しながら、神様と一緒にいただくという意味があります。

日本の割り箸は、元来、神事に使われていました。天皇即位の礼の後、大嘗祭の際に、宮内庁御用達である「箸勝」が納めた用具一式の中にも「両口箸」がありました。割り箸が神事に使われるのは、「穢れ」のないまっさらのものを大事にするためです。薬品漬けで穢れた外国産でなく、国産の割り箸を使うことに意味があるのです。

信心の話は別として、国産の割り箸を繰り返し使うことによって、食事を単なる腹を満たすためだけの行為でなく、「食べ物はもともと命あるもので、食事によって自分の命とつながっている」と、いっときでも厳かな気持ちになれることは、気持ちのよいものです。また、嬉しいことがあった時や、新たな気持ちで仕事に取り組みたい時などに新しい割り箸を使えば、その時の気持ちを食事のたびに思い起こすこともできます。

国産と外国産の割り箸の見分け方ですが、一番簡単な方法は、割り箸のつながった部分を割ってみれば分かります。きれいに均等に割れず、ささくれだつと、それはほぼ間違いなく外国産です。今までうまく割れなかったのは、自分の責任ではなかったのです。割り箸が悪いのです。

国産の割り箸は、どうすれば手に入れられるのか。百貨店の箸売り場に行けば見つかりますし、ネットの通信販売でも入手可能です。秋葉原に立ち寄る機会があれば、「箸勝」に直接行ってみるのもよいでしょう。問屋の店構えですが、気軽に個人でも購入できます。500円以下で入手できる割り箸もあるので、一年間毎日気分よく使うことができれば、かなり割安です。

あるいは、鰻の「神田川」、蕎麦の「かんだやぶそば」(火災のため、現在休業中)、神田明神前の甘酒茶屋「天野屋」、鳥すき焼きの「ぼたん」など、秋葉原界隈の老舗飲食店に行くと「箸勝」の割り箸が出てくるので、食事をした後、持ち帰ることをお勧めします。値段の高低に係わらず、日本の「おもてなし」文化を心得ている飲食店では、塗り箸、ましてや合成樹脂の箸など出しません。割り箸は「あなただけのため」に用意した、まっさらな箸ですから、気に入れば持ち帰ればよいのです。

私はいつも新しい懐紙で割り箸の先を包んで持ち歩き、必要な時は、自分の割り箸を取り出して気分よく食事をします。外食に出かける際は、ぜひ自分専用の割り箸を持ち歩いてみてください。箸を使い始めた時の気持ちが思い起こされ、食べ物や命のありがたさを感じられて、とても気分がよくなるはずです。

 

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20131029-00010933-president-bus_all

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20131029-00010933-president-bus_all&p=2

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