最近の本や雑誌、テレビなどでよく見る「免疫力」。なんとなく病気になりにくくする力のことだと思うけど、風邪をひきやすいボクとしてはなんとかそれを高めたいところ。でも、そもそも免疫力とは何のことなのだろう? 理化学研究所の免疫発生研究チームでリーダーを務める、河本宏さんに聞いた。
「免疫とは感染症をもたらす病原体から体を守るためのシステムのことです。免疫力という言葉は免疫機能という意味で一般に使われていますが、厳密にいえばこのように体に備わった恒常性を保つ力には、通常『力』という言葉はつけません。例えば自律神経『力』とか、内分泌『力』といわないように、専門用語として『免疫力』という言葉はないのです」
昔は抵抗力と呼ばれていたものが、免疫力と言い替えられるようになったと河本さんはいう。では、免疫力を上げることで予防できるのはどんな病気?
「風邪に代表されるウイルス感染症から肺炎などのバクテリアによる疾患まで、多くの感染症は免疫力と関係しており、なかにはヘルペスウイルスや結核のように、もともと体内に潜伏していた病原体が免疫力の低下とともに増加し、発症するという病気もあります。ただ、免疫力とガンの関係がよく例に挙げられますが、単純に免疫力を高めることでガンが予防できるとは限りません。子宮頸ガンや、ある種のリンパ腫のような、ウイルスの関与で起こるガンには免疫が働くことがありますが、胃ガン、大腸ガン、肺ガン、膵臓ガンなど、多くのガンは免疫とほとんど関係がないのです」
ほかにも生活習慣病でいえば、例えば動脈硬化症は免疫細胞が発症に関わっているが、免疫力の高低にはあまり関係がないとか。でも風邪をひきにくくなるなら、やはり免疫力は高めたい。どうやったら上げることができるのだろう?
「通常は免疫がきちんと働いているのが正常なので、何かをすれば上がるというものではありませんが、栄養に偏りのない食事を適量とることや、ストレスを溜め込まないよう適度に心と体をリラックスさせるなど、下げないようにすることはできます」
耳に痛いお言葉・・・。やはり健康的な生活を送ることが、病気の予防に効果的なのですな。
(中山秀明/GRINGO&Co.)
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