注文していない健康食品を送りつけられ、業者から購入を迫られるトラブルが高齢者を中心に急増している。
記憶力や判断力の衰えにつけ込んだ手口で、今年度に各地の消費生活窓口に寄せられた健康食品販売を巡る相談件数は前年度同期の2倍を突破している。「申し込んだのだから代金を支払え」とどう喝まがいの文句で押し切るケースも多く、国民生活センターが注意を呼びかけている。
「注文していない7万5000円のサプリメントについて業者から電話で注文を受けたと言われた。受け取らなければ運送代や梱包(こんぽう)代を請求すると脅された」
名古屋市消費生活センターに9月、70歳代の男性から相談があった。年金生活で高額商品を注文する余裕はなく、覚えもないため断ったが、「先日、あなたの声で注文を受け、録音もした。弁護士を連れて行くので出張費も請求する」と言われたという。
センターが間に入り、商品を送らないことを約束させたが、業者側は「送付日の調整もしたはず」と言い張ったという。
三重県内の窓口にも9月、80歳代の男性から「申し込まれた商品を配達すると電話があり、代金引き換え配達で荷物が届いた」と相談があった。身に覚えがないため受け取りを拒否すると、業者から「会社をつぶす気か」と脅すような電話があり、やむなく再配達を受けて2万円を払ったという。
国民生活センターによると、先に電話し、契約があったように思いこませてから健康食品を送りつける手口は今年夏頃から全国的に目立ち始めた。各地の窓口が今年4月~今月15日に受け付けた健康食品の販売を巡る相談件数は前年度同期比2・1倍の3515件。新しい手口の相談が全体を押し上げているという。
この手口に絞り、愛知県が県内の各窓口に寄せられた相談を集計したところ、4~10月で前年度同期の1・7倍の71件に上り、既に前年度全体の62件を超えた。相談者は70歳以上が60%。実際に払ったのは少なくとも17件で、中には22万円を払ったケースもあった。
国民生活センターによると、相談で名前がよく出てくる業者は数十社あるが、書面の形式などが酷似した社も多く、「少数業者が幾つも名前を使い分けている可能性もある」とみている。
担当者は「高齢者が標的にされやすく、電話で感触を確かめて成功しそうな所に送っているのでは」と分析。「頼んでいない品物が届いたら、まずは受け取りを拒否してほしい。もし、代金を支払ってしまった場合は、一定期間内であれば無条件で解約できるクーリングオフ制度もあるので、最寄りの消費生活窓口に相談してほしい」としている。
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