自転車の安全走行の「切り札」の一つとされながら、法的な位置付けがあいまいで設置が進まなかった「自転車レーン」について、国土交通省が法的位置付けを明確化する方向で検討を始めることが分かった。道路の基準を定めた政令の「道路構造令」に、「自転車専用通行帯(自転車レーン)」の規定を盛り込む。実現すれば、自転車の歩道通行からの転換を促進させ、車と自転車、歩行者の分離が進むことが期待される。
自転車走行路は(1)縁石などで車道や歩道と完全に区切った「自転車道」(2)車道左端を線で区切ってカラー舗装するなどした「自転車レーン」(3)幅の広い歩道に設置する「自転車歩行者道(自歩道)」--の3種類がある。自歩道は歩行者との事故の懸念が残り、自転車道は縁石などの工事が必要となるのに対し、自転車レーンは車や歩行者と分離できる上、安価で整備できる。
だが、道路構造令には自転車道と自歩道しか規定がない。自転車レーンは道路交通法上の「車両通行帯(車線)」の一種とされ、幅が1メートル以上あれば設置できるが、法律上の位置付けはあいまいとされる。このため、事故が起きた場合に設置根拠が問題になるとの懸念から、自治体は自転車レーンの整備に消極的で、10年3月末時点で総延長は全国で約200キロにとどまる。
自転車政策に詳しい屋井(やい)鉄雄・東京工業大大学院教授は「自転車を歩道通行させてきた従来の固定観念を崩す契機にしてほしい」と話している。
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