高山病 徒歩で登るのと、車やロープウェーを使った登山 リスクが高いのはどちら?…山に行く前にしておきたい対策
Q 眺めと空気がいいな。でも頭痛と吐き気がする。
ヨミドック 高山病かもしれません。標高2500メートル以上の高地を訪れた際に発症することがあります。高地は空気が薄いため、低酸素状態になりやすく、頭痛や悪心、めまいなどの症状が表れます。
重症になると、脳の圧力が高まる脳浮腫や、肺の中に水がたまる肺水腫を起こして死亡することもあります。
Q どうしよう?
ヨ 休憩して水分を取りましょう。それで改善しない場合は、標高が低い所へ下ります。すぐに下りられない状況では、ダイアモックスという薬を服用すると症状を軽減できます。ただし、医師の処方が必要で、高山病への使用は公的保険の適用外なので全額自己負担になります。
意識障害があれば脳浮腫、呼吸困難を生じていれば肺水腫の恐れがあります。早急に救助を要請してください。
Q 車で気軽に来たのに。
ヨ 国内には、自動車やロープウェーなどで標高2000メートル以上に到達できる山があります。徒歩で体を慣らしながらの登山より、急速に高度が上がるため、高山病を起こしやすくなります。
高山病 徒歩で登るのと、車やロープウエーを使った登山 リスクが高いのはどちら?…山に行く前にしておきたい対策
対策として、〈1〉眠ると呼吸が浅くなり、発症しやすくなるので、道中の車内では寝ない〈2〉到着後、休憩してから行動する――が有効です。
Q 海外の山も人気だね。
ヨ 海外では、4000メートル以上まで交通機関で行ける場所があります。高山病の発症率は3000メートル未満では25%ですが、4000メートルでは50%に高まります。行く前に高地と低地をゆっくり上り下りして、体を慣らしておきましょう。医療体制は国によって異なるので、事前に調べておくことも大切です。
Q なりやすい人はいる?
ヨ 高齢者は体に酸素を取り込む力が衰えているため、より低い高度から発症するリスクがあります。自分で体調の変化に気づきにくい傾向もあるので、周囲がよく観察し、本人に聞き取りましょう。
Q ほかにできる準備は?
ヨ 寝不足と体調不良は大敵です。山に行く前は十分な食事と水分、睡眠をとり、アルコールは控えましょう。血中酸素飽和度を測るパルスオキシメーターがあると、体調管理に役立ちます。(原隆也/取材協力=増山茂・東京医科大渡航者医療センター客員教授、中島隆之・日本山岳・スポーツクライミング協会登山医科学委員会委員長)
◇
ヨミドックは読売新聞の医療サイト・ヨミドクターのお医者さんキャラクターです。