原発事故が起きた際、甲状腺の被ばくを防ぐ「ヨウ素剤」について、東京電力柏崎刈羽原子力発電所に隣接する新潟県長岡市で住民たちが独自に配布を始めました。
福島第一原子力発電所の事故から1年8か月がたったいまも国からは薬の服用基準が示されておらず、混乱を避けるためにも早急な対策が求められています。
ヨウ素剤は、甲状腺の被ばくを防ぐもので、放射性物質が体に取り込まれる前に飲むことで効果を発揮する一方、アレルギーなどの副作用もあります。
18日は柏崎刈羽原発からおよそ13キロ離れた長岡市青葉台3丁目の町内会でヨウ素剤が希望する33人に配布され、役員が「国や自治体の判断を待っていては間に合わない」とした上で副作用について説明し、「自らの判断と責任で服用してほしい」と呼びかけました。
ヨウ素剤をめぐっては福島第一原発の事故直後に服用の指示が国から出されず課題を残しました。
国の新たな防災指針ではヨウ素剤の服用については、原子力規制委員会が判断するとしていますが、薬を配布する範囲や服用の基準など具体的な対策は決まっていません。
ヨウ素剤を受け取った住民は「子どもの被ばくを避けるために必要だと思うが、どのような時に飲めばいいのかわからないので、早く基準を示してもらいたい」と話していました。
一方、原子力規制委員会の検討チームのメンバー、鈴木元医師は今回の住民の行動に一定の理解を示したものの、「ヨウ素剤は副作用があり、飲むタイミングも重要な薬だ。住民が安心できる対策を国や自治体が早急に示す必要がある」と話しています。
http://www3.nhk.or.jp/niigata/lnews/1033538461.html