【AFP=時事】現地試験でHIV(ヒト免疫不全ウイルス)と梅毒の検査を可能にする、一般的なスマートフォン(多機能携帯電話)を使った新たな技術が開発されたという。4日の米医学誌「サイエンス・トランスレーショナル・メディシン(Science Translational Medicine)」(電子版)に研究論文が掲載された。
米コロンビア大学(Columbia University)の技術者らが主導した研究によると、この新たに開発されたスマートフォン向けのアクセサリー機器で、血液数滴を用いたHIVと梅毒の抗体検査が実施可能になるという。標準的な診断検査装置の価格は1万8000ドル(約210万円)ほどだが、このアクセサリー機器の製作単価は34ドル(約4000円)程度だという。
研究チームによると、スマートフォンのイヤホンジャックに接続するこの機器は、HIV検査法として広く知られている「酵素免疫抗体法(ELISA法)」と同様に動作し「性能もほぼ同等」だとされ、また検査結果も数分で出るという。初期研究は、アフリカ・ルワンダの女性96人の協力の下で実施された。
研究チームは、僻(へき)地の住民や十分な医療サービスが受けられない場所に設けられた現地診療所で、この「チップ上の検査ラボ」が役立つことを期待している。
コロンビア大のサミュエル・シア(Samuel Sia)准教授(生体医用工学)率いる研究チームは、さらに規模を拡大した臨床試験の実施を当座の目標に掲げている。
同准教授は「完全に実験室レベルの免疫学的検定が、スマートフォンのアクセサリー上で実行できることを、われわれの研究は示している」と語る。
「マイクロ流体工学と家電製品の最近技術とを組み合わせることで、スマートフォンを利用できるほぼ全ての人が、特定の実験室ベースの診断法にアクセスすることが可能になる。こういった機能により、世界中に提供される医療サービスの形態が変わる可能性すらある」
今回の研究は、米国際開発局(US Agency for International Development、USAID)が推進する「出生時における新生児救助(Saving Lives at Birth)」の過渡的補助金、米慈善財団「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団(Bill and Melinda Gates Foundation)」、ノルウェー政府、カナダNGO「グランド・チャレンジズ(Grand Challenges)」、世界銀行(World Bank)、米ウォレスH.コールター財団(Wallace H. Coulter Foundation)などから資金供与を受けた。【翻訳編集】 AFPBB News
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