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<再生エネ>サツマイモ発電 酒造が取り組み年1億5千万円

焼酎メーカー大手の霧島酒造(宮崎県都城市)が昨年9月から、「サツマイモ発電」に取り組んでいる。芋からできた電力は、地元の電力会社を通じて工場の外でも利用されている。東日本大震災以後、関心が高まった再生可能エネルギーの実践の場を訪ねた。
◇「かす」を原料に
約2万9000年前、鹿児島湾周辺で発生した姶良(あいら)大噴火により、九州南部一帯は火山灰に覆われた。
サツマイモ栽培に適したこの地で、同社の4工場(いずれも同市内)は1日に計約29万リットルの芋焼酎を製造している。4工場のうち発電施設を備えているのは本社増設工場。焼酎を製造する施設の隣に、発電関連設備「焼酎粕(かす)リサイクルプラント」が併設されている。
焼酎は、米こうじと蒸したサツマイモと水を混ぜて発酵させ、蒸留して水とアルコール分を集めたものだ。濃いクリーム色のどろっとした液体を巨大な蒸留器に移し、蒸気を吹き込みながらかき混ぜて蒸留すると、透明の焼酎が抽出される。
このとき、蒸留器に残った焼酎かすが電気のもとになる。これを焼酎工場からリサイクルプラントに移す。
◇年間1億5000万円分
同社では1日に320トンのサツマイモを使う。米や水など他の材料が加わり、焼酎かすは1日650トン、多い時は800トンに膨れ上がる。さらに、皮の部分など芋くず10トンも生じる。焼酎かすと芋くずをリサイクルプラント内のメタン発酵装置に送り込み、発酵させると、主成分がメタンのバイオガスが発生する。
このガスは可燃性で、発電機の中でガスを燃焼させると、電気が発生する。構造はガソリン車と同じだ。工場内にはオーストリア製のエンジンを搭載した発電機が3台設置されていて、同社によると年間約400万キロワット時の電力が発生する。一般家庭の年間消費電力量で換算すると、約1000世帯分に相当するという。また、国の再生可能エネルギー「固定価格買い取り制度」を使って九州電力(福岡市)に売電し、地元で利用されている。売電収入は年間1億5000万円程度。設備投資の費用は約15年で回収できる見込みだ。
発電機は大きな倉庫のような見た目で、中には四角い箱やエンジン、太い管が取り付けられていた。稼働中に扉を開けても静かで、全く騒音がなかった。
蒸留器の中に残った焼酎かすと、メタン発酵装置で分解処理した後に残る発酵液、さらに発酵液を脱水機にかけて液体と分離させた固形分を、特別に見せてもらった。焼酎かすはどろっとして、ミルクティーのような色の液体。みそのような発酵食品特有の臭いがした。発酵液は一見、泥水だが、卵が腐ったような臭いがする。固形分は泥の塊に見えるが、鼻にツンとくるアンモニア臭がした。固形分は乾燥させて、畑の有機肥料として活用しているという。原料の芋を余すところなく使い切る取り組みで、地元の畑にまかれて、再びサツマイモへと姿を変えるのだ。
また、同社では、バイオガスの一部を熱源にして、高温の蒸気ボイラーとして芋や米を蒸すエネルギーに利用している。
◇地域活性化へ
近年、バイオガスを含むバイオマス発電は、再生可能エネルギーの一つとして注目されている。資源エネルギー庁によると、太陽光発電や風力発電と異なり、天候の影響が少ないため、燃料を確保できれば安定した電源になると期待されている。
一方で、バイオガスによる発電量はまだまだ少ない。2014年6月現在、再生可能エネルギー発電の買い取り電力量は累積で約310億キロワット時で、そのうち54%を太陽光発電が占める。植物や動物に由来する資源を使ったバイオマス発電はわずか14%で、メタンを発生させるバイオガス発電はそのうちさらに1%程度(同年8月現在)しかない。
サツマイモ発電の他にユニークな発電では、香川県でうどんの残りかすを使った「うどん発電」、愛媛県でミカンの搾りかすを使った「みかん発電」が有名だ。これまで捨てられていた特産品の廃棄分が資源になるため、同庁は「地域活性化にもつながる」とみている。【鈴木敦子】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150123-00000028-mai-soci

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