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「観光ワイナリー」で過疎地にスポット

過疎化が進む新潟市西蒲区の角田浜地区周辺の振興を図ろうと、同地区でワイナリーを営む瀬戸潔さん(52)が、周辺の豊かな自然などを巡るツアーを取り入れた「観光ワイナリー」を始めた。同地区はワイナリーの密集地として知られているが、周辺観光と一体化した試みは初めて。瀬戸さんは「風光明媚(めいび)なこの土地の魅力を多くの人に知ってもらえれば」と意気込んでいる。(清水綾)

「あの鳥はヘラサギといって、日本でも年間十数羽しか飛来しない珍しい鳥なんです」。22日午前7時半頃、水鳥の重要な生息地としてラムサール条約の登録湿地・佐潟(同市西区)で実施された初のツアー。参加者12人はボランティアガイドの説明に耳を傾けながら、双眼鏡を片手に渡り鳥などを観察して歩いた。

1時間半ほど散歩した後、車で約10分の距離にある瀬戸さんのワイナリー「カンティーナ・ジーオセット」へ移動。市内のイタリア料理店から取り寄せた温かいスープやサンドイッチに舌鼓を打ちながら「あんな鳥初めて見た」、「この店の料理は本当においしい」などと談笑した。

参加費は食事代の2000円のみ。無料でワインの試飲もでき、店のワインをお土産に買っていく参加者もいるなど好評だった。

東京都出身の瀬戸さんは広告会社に勤めていたが、ワインの製造に傾倒し、2010年に脱サラ。その自然にほれ込んでいた角田浜に昨年6月、ワイナリーを開いた。「本業のワイン造りも角田浜の砂丘や自然の恵み、地域の人に支えられてできるもの」と考え、ツアーを企画した。佐潟のボランティアガイドの協力も得て、インターネットなどで参加者を募集した。

市によると、昨年9月末現在で角田浜の人口619人のうち、65歳以上は200人と高齢化が進む。豊かな自然と温泉、農産物や酒の特産品など地域の魅力はたくさんあるが、若者の流出に歯止めがかからない。瀬戸さんは県外からの観光客を誘致する以上に、地域が自らの魅力を再認識し、発信する活力となるのを期待し、地域目線でツアーを企画したという。

近くの越前浜地区からツアーに参加した男性は「新しい地元の過ごし方を教えてもらった」と喜ぶ一方、「ほとんど歩いている人は見なかったな」と地域の実情を再認識していた。

農業経験もない瀬戸さんにとって蔵の経営は「やはり大変」だが、「店だけが繁盛しても意味がない。町全体を活気づけたい」と話す。公共交通の接続の悪さなど観光客を呼び込むための課題は山積みだが、初めの一歩となるイベントを終えた瀬戸さんは「まだ漁港や山など、伝えたい魅力はたくさんある。時間が許す限り発信していきたい」と次への意欲を見せている。

次回は4月に開催される「越前浜春祭り」に合わせた企画を計画中だ。

(2014年2月25日  読売新聞)
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