【上海=鈴木隆弘、香港=吉田健一】中国東部と南部で鳥インフルエンザ(H7N9型)の感染が急増している。
今年に入り71人の感染者が確認され、8人が死亡。31日の春節(旧正月)に合わせ、帰省や旅行による大移動が始まり、感染の拡大に懸念が強まっている。
H7N9型の人への感染は、ウイルスを持った鳥との接触が中心とされ、現時点では、人から人への感染は確認されていない。
上海市当局は感染拡大を抑えるため、生きた鳥の販売を衛生環境の整った場所に制限するが、闇で売買は横行する。高層ビルが立ち並ぶ市中心部。露店が密集する路地で、生きた鶏やカモなどが売られていた。その場で鳥を絞め、熱湯につけて羽根を取る。路上に血が流れ、羽根が散乱し、衛生環境は悪い。店の女性は「鳥インフルエンザは心配ないよ」と声を張り上げた。
昨年3月、世界で初めてH7N9型の人への感染が中国で確認され、これまでに感染者は200人を超え、死者も50人以上に及ぶ。昨年夏以降は感染者が減ったが、今年1月になって急速に感染が広がってきた。
春節前後には延べ36億人が交通機関を使って移動すると予想される。春節を控え中国本土から買い出し客が押し寄せる香港。隣接する広東省では年初以来20人の感染が確認され、香港でも同省で感染したとみられる男性が今月13日に死亡した。香港当局は同省深センとの境にある出入境ゲートに職員を多数配置し、入境者の体温測定をするなど感染者流入に警戒を強める。
世界保健機関(WHO)は「H7N9型は鳥に感染しても無症状で、(野鳥などを通じて)周辺国に気づかれないまま拡散している可能性がある」と、日本などにも警戒を呼びかける。
(2014年1月23日 読売新聞)
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=91577










