和食に欠かせない豆腐やしょうゆ、みそなどの大豆食品の製造方法を海外に紹介するため、新潟大農学部の大山卓爾(たくじ)教授(62)(植物栄養学)らは英語による教養書を出版した。大山教授は「新潟から世界に日本の食文化を発信したい」と話し、日本食の普及につながることも期待している。(出川智史)
執筆した「Traditional and Modern Japanese Soy Foods(日本の伝統的および現代の大豆食品)」では、豆腐やしょうゆ、みそのほか、煮豆、きな粉、豆乳、油揚げ、湯葉、納豆など11の大豆食品を紹介する。
4年前から同学部の高橋能彦教授や県農業総合研究所の西脇俊和主任研究員らと協力し、県内の食品会社を中心に製造工場7か所を訪問。工場での製造工程をカラー写真を使い、それぞれ原理と共に説明した。栄養や調理方法についても記載した。
せっかく見学に訪れても、工場の企業秘密を理由に掲載を断られることもあるなど、編集段階では多くの苦労もあったという。
主に大豆の仕組みを研究する大山教授は、海外では大豆食品に関する料理本は出版されているものの、その製造方法などを詳しく紹介するような本は少なく、理解が不十分となっていることに気付き、2年前に執筆を決めたという。
大山教授によると、欧米での肥満や生活習慣病などの原因の一つには、肉類からの脂肪の取りすぎがある。肉となる動物は穀物を大量に食べて育つため、「同じ量のたんぱく質を取るなら、肉より大豆食品の方が穀物の消費量が少なく効率的で、健康にも良い」。
大山教授は、「海外でも大豆食品をおいしく食べてほしい。大豆食品は世界の穀物不足などにも寄与できると思う」と話している。
167ページ、47ドル。米ニューヨークの「NOVA出版社」が10月に刊行した。日本では、米インターネット通販大手アマゾン・ドット・コムか紀伊国屋書店のホームページから購入できる。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/niigata/news/20131103-OYT8T00596.htm