[ カテゴリー:環境, 生活, 食の安全 ]

PM2.5、農薬、金属まみれの中国野菜が日本にくる?

中国の北京市で9月末、呼吸器障害などを引き起こす「PM2.5」の汚染指数が最悪レベルとなった。そして今、そこにある危機はPM2.5、農薬、重金属まみれの中国野菜が日本に上陸する可能性がある――という現実だ。北京在住の作家、谷崎光氏が汚染大国・中国の実態を現地ルポした。

*  *  *
スーパーで売っている無農薬野菜を本物と信じるような北京の住人はいない。農場で検査用に1メートル四方のみを無農薬にしたら、鼠がそこの野菜だけ食べた、という話がある。

最近はご近所さんたちおすすめの、新開店野菜専門チェーン店で買っている。村おこしの正規店で売り手が生産者。たしかにほうれん草など農薬漬けのとは形が違い、すぐ売り切れるので、北京のジジババに交じって、朝一の争奪戦に行かないと売り場はガラーン。

またスーパーで生きた貝を見かけることが減った。経済発展した沿岸がほぼ全域、重金属で汚染されているためで、買う人も少ない。代わりにサーモンなどが販売されるようになり、日本より高いがよく売れている。が、非正規市場では貝もよく見かける。

魚も養殖池にピルをほうりこんで、家も安い建材だとアレルギーを発症し、車も内装が……と書ききれないが、安全確実なものが、水、空気、土、何一つない。

さらに中国らしい、権力的汚染格差がある。中国の軍や大国営企業は1950年代から自給自足のために農場を持っていた。現在も自分たちのためだけに市場に流れない安全な農産物や畜産物を作る。2011年は北京の税関の秘密無農薬農場が話題になった。北京にいると、時にこの手の横流し品が流れてきて、たしかに良質……。

さらなる汚染格差が都市と農村。汚染は、基本的に工業地帯で多発する。中国の大気汚染トップ3は北京ではなく、工業都市である。内陸もひどい。古くから工業地域の東北は、肺がん多発地帯でもある。北京から近郊の工業都市、保定へ車を走らせると、道の途中から酸っぱい匂いが立ちこめてくる。道の両脇は都市から集めたペットボトルの不法再生の家内工業が並ぶ。そのすき間に野菜が植えられ、子供が遊ぶ。

で、その野菜をせっせと食べた驢馬の現場料理店が横にあるが、保定の大気汚染は、よく中国ワースト3に入る。9月末もPM2.5は500を超え、「測定外」。ここは、中国ローカルの自動車産業が盛ん。

水も、北京に住んで水道の質がどうの、と「贅沢な」ことを言っているが、農村は水道がない方が多い。工場の汚染水がそのまま土壌にしみこみ、地下水を汚染し、それを飲用とする。

電池工場からの鉛流出、農薬工場からの水源汚染などで、農村や工業地帯では奇形児出産や肝臓障害多発で暴動が起こっている。これは今に始まったわけではなく、01年、私が北京に来た時に、すでに現地の日本人記者達は今後の先天性障害児の増加の可能性を口にしていた。無学ゆえに危険な仕事に従事するのもある。現在、中国全土でがん村は数定かでなく多く、分布は沿岸だけでなく、内陸にも広く及ぶ。

日本への輸出野菜や食品は沿岸の農村で作られていることが多い。中国側も突き返されたら困るので注意はしているが、常識が違う。中国に100%安全なものはないという認識は誰にも必要。見出しは「日本にくる?」だが、中国食品は自分で歩いてくるわけではない。輸入の水際の全量検査は不可能だし、重金属検査もまだ手薄である。

しかし日本の一部食品も、原発事故の影響で、中国始め、多くの国で輸入禁止。結局、予測されていた環境汚染が止まらなかった理由としては、経済優先――という名の汚職で、見張るべき(当地)政府は汚染企業と一体化している。

それを取り締まる環境保護部は地位が低く、誰も言うことを聞かない。罰金が安い。汚水を垂れ流して罰金を払った方が、コストが低い。

大気汚染も、北京のPM2.5の2割は排ガス(北京市発表)で、確実な対策は、中国の超低質なガソリンの品質アップである。だが設備投資に巨額のコストがかかる。中国石油化工・天然ガス集団と中央政府の汚職が深すぎて進まなかった。ここは東北と内陸に油田を持つ。9月に幹部が拘束・解任され、10月から品質改定の通達が出たが、過去に実行されたためしがない。

http://dot.asahi.com/wa/2013100900057.html

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