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[なっ解く]気象庁の「特別警報」とは

命守る行動の呼びかけ

特別警報が出た大雨で氾濫した桂川(9月16日、京都市で)=宇那木健一撮影

気象庁は、気象災害が従来の注意報や警報を上回ると予想される際に発表される「特別警報」の運用を、今年8月30日に始めた。どのような注意や行動が必要だろうか。

特別警報は、「数十年に1度」「過去に経験したことがない」という気象現象や大災害に、「ただちに命を守る行動をとるように」と呼びかけられる。

対象は、大雨、暴風、高潮など9種類=表=。発表後は気象業務法に基づき、市区町村が住民へ周知する。方法は各自治体に委ねられているが、防災無線や広報車のほか、災害情報メールが運用されることもある。地元のシステムを把握しよう。

民間気象予報会社「ウェザーマップ」の気象予報士、佐藤大介さんは、「特別警報は『最後の警告』。大きな危険が間近に迫っている、もしくは近くですでに災害が発生している状況だと強く認識してほしい」と注意喚起する。

「数十年に1度」の体感的なメドは、大雨なら滝のようにゴーゴー降る雨(1時間に50ミリ)が3時間以上続く状態。テレビの衛星放送が映りにくくなるといった前兆もある。暴風や高潮は、1959年の伊勢湾台風や同程度の温帯低気圧(中心気圧930ヘクト・パスカル以下または最大風速50メートル以上)のため、猛烈な風が吹いている状況。大雪は、都道府県程度の広範囲で50年に1度レベルの積雪が観測され、豪雪がその後も続くような天候だ。

「明らかにこの天候はおかしいと感じられるはず。とにかく身の安全を守ることを考えて」と佐藤さん。だが、「特別警報が出た後に避難行動を取るのは望ましくない場合もある。私たちの判断力も求められます」と話す。避難経路が、浸水や暴風による飛来物で、危険な場合もある。防災無線の放送が、雨や風の音で聞こえない可能性もある。

「特別警報が出る前、災害が起きそうだとの天気予報が出た段階で、情報収集と準備をしてください」と強調するのは、NPO法人「日本防災士会」(東京)の常任理事で、防災士の橋本茂さん。

暴風なら植木鉢など飛ばされやすいものを屋内にしまうか固定し、雨戸やカーテンを全部閉める。大雪は注意報の時点で雪下ろしをし、数日分の食料確保を。避難所に行けないような豪雨なら、自宅の2階にとどまったり、外出先では鉄筋のビルの3階以上のフロアに一時避難したりする。平常時の訓練や避難場所の確認は大前提だ。

警報の発表情報はテレビやラジオのほか、NTTの天気予報サービス「177」でも知ることができる。他の都道府県を知りたい場合、177の前に市外局番をつける。

特別警報は、未曽有の災害が近年相次いだことで設けられた制度。「前は『空振り』だったから今回も大丈夫との考えは通用しない。災害が襲ってくるとの意識を常に持つべきです」と橋本さんは話す。

特別警報で慌てないために

・自宅、勤務先、外出先など、様々な状況での安全確保の方法を想定しておく

・注意報や警報の段階から積極的な情報集めを

・発表されたら自宅周辺の状況を冷静に把握し、避難行動の可否を判断。外に出ることが命取りの場合も

・大雨や洪水に備える場合、2階建て以上の住宅なら高齢者や寝たきりの家族は浸水に備え、先に上階に避難を

(佐藤さん、橋本さんの話などを基に作成)

http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=86113

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