新型インフルエンザなどのパンデミック(大流行)の際、会社員など活動的な集団にワクチンを優先して接種すると、高齢者を含む住民全体の感染予防に効果的とするシミュレーション結果を、統計数理研究所などのチームが発表した。スーパーコンピューターを使い、通勤など都市圏の一人一人の行動を考慮できる試算システムを開発した。19日付の米科学誌プロスワンに発表した。
チームは、東京都近郊で人口122万人の都市を仮定。移動は鉄道を使う前提で、ワクチンの優先接種の効果を試算した。その結果、流行開始から1カ月間にワクチンを接種しない人が感染する割合を調べたところ、会社員に優先接種した場合は約7%だったが、在宅者を優先した場合は約30%に上った。
新型インフルエンザに対する政府のワクチン接種方針は、高齢者など重症化しやすかったり、死亡する危険性が高かったりする集団を最優先とする。今回の試算では、地域全体の感染者の割合を下げ、重症化しやすい人の感染を予防するためにも、会社員など活動範囲が広く、活動量の多い集団に積極的に接種することが望ましいことが明らかになった。
斎藤正也・同研究所特任助教は「今後は、感染拡大を予報できるシステム開発を目指したい」と話す。【斎藤有香】
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