新潟県小千谷市片貝町の浅原神社で行われた「片貝まつり奉納煙火」(9、10日)に、日本の祭りを支援する運動を続けるNPO法人「日本の祭りネットワーク」の副理事長、苦(にが)田(た)秀雄さんが見物に訪れた。苦田さんは、エジプト考古学者で国内の祭りにも造詣が深い吉村作治さんらとともに運動に取り組んでおり、地元の人々の花火にかける情熱に耳を傾けながら、祭りの魅力を体感した。
片貝まつり奉納煙火は、柏崎、長岡と並ぶ越後三大花火大会の最後を飾る。直径約800メートルの大輪を咲かせる4尺玉が有名だ。400年の歴史がある浅原神社の秋の例大祭に、地元住民らが、成人や還暦、出産、故人の供養などさまざまな思いを込めて打ち上げ奉納する。
苦田さんは10日に見物。厳かな雰囲気のなか、一つ一つ打ち上がる花火を見上げ、「派手さがなくていい」と豪華絢(けん)爛(らん)さを競う近年の大会との違いに感心し、「天上は神の世界で、亡くなった人たちがいる。そこにいる人たちに見てもらいたいという思いで打ち上げるのが本来の花火。片貝の花火は昔のかたちだ」と感想を語った。
打ち上げ前に亡くなった親への感謝などが読み上げられ、「娯楽ではなく祈りがある」と聞き入った。4尺玉が打ち上がると、「音がすごく、桟敷も揺れた」と興奮していた。
苦田さんは20年ほど前、東北地方の祭りと出合い、厳しい自然環境で暮らすからこそ祭りを大切に守り、人々が力を合わせる姿に感動したのが活動の原点という。「感謝、助け合いの気持ちが凝縮された祭りは地域の誇り。祭りを通して自分の地域を見直すことが活性化につながる」と話している。
苦田さんが訪れた花火の様子は23日午後3時からNSTのダイドードリンコスペシャル「片貝まつり~神に捧(ささ)げる大輪の花」で放映される。
http://sankei.jp.msn.com/region/news/130918/ngt13091819260005-n1.htm