東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼働問題などについて、泉田裕彦知事は28日、東京都内で会見し、安全対策面で東電や原子力規制委員会の姿勢を批判した。
東京都千代田区の日本外国特派員協会では、記者ら約80人を前に、新規制基準で設置が義務づけられているフィルター付きベント(排気)設備と原子炉建屋の基礎が一体化していないと指摘し、地震で双方をつなぐ配管が外れた場合、「直接放射能が放出される可能性がある」といった懸念などを伝えた。
ドイツ人のフリー記者から柏崎刈羽原発の再稼働についての考えを聞かれ、「再稼働について議論するためには、福島で何があって、どういう対策を取ったからどうだ、ということが議論された後になる」と、従来通りの主張を繰り返した。
7月5日に広瀬直己東電社長と会談したことにも触れ、「広瀬社長の頭の9割は、福島第1原発事故の賠償と資金調達。こういった企業が安全に原発を運営できるのか疑問に感じる」としたうえで、「目先のカネを優先し、安全対策を怠って自らの首を絞めることが続くようなら、いったん破綻処理するというのも選択肢の一つではないかと考え始めている」と批判した。
規制委に対しても「立地自治体からの意見に耳を貸さない状態だ」と指摘。規制委の田中俊一委員長に面談を求めながらも実現しない状況を踏まえ、同夜会見した同区の日本記者クラブでは質問者から、田中委員長が同日に福島県の佐藤雄平知事と会ったことを引き合いに出された。
泉田知事は「住民の命を守る運用をする気があるのかと聞きたい。だが、規制委は勧告権を持つ原子力利用の安全確保を任務としているのに基準対象外としてとりあわない。その基本的な考えを聞きたいと規制委に質問を投げている。答えられないから会ってくれないのではと疑わざるを得ない」と語った。
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