東京電力の廣瀬社長は5日、柏崎刈羽原子力発電所のある新潟県を訪れ、原発の運転再開に向けてできるだけ速やかに国に安全審査を申請する方針に理解を求めました。これ対して泉田知事は運転再開を急ぐ東京電力の姿勢を批判した上で、地元が事前了解する前に安全審査を申請することは認められないという考えを示しました。
東京電力は、来週8日の国の新しい規制基準の施行後、柏崎刈羽原発の運転再開に向け、できるだけ速やかに安全審査を国に申請する方針で、5日、廣瀬社長が地元の新潟県を訪れてこうした方針について説明しました。
この中で、廣瀬社長は地元への説明の前に国への申請の方針を決めたことを謝罪した上で運転再開の前提になっている「フィルターベント」と呼ばれる設備の設置工事について「フィルターベントは万が一、使う時には大変な影響があるので、どう使うかが重要だ。地元の自治体の動きにも関わるので、これから相談したい」と述べて、国の安全審査と並行して地元の自治体と運用に関する相談をしたいという意向を示しました。
これに対し、新潟県の泉田知事は、「なぜ、それほど申請を急ぐのか。安全協定は県と会社の約束であり、事前了解なしに申請することはあり得ない」と述べ、事前了解する前に東京電力が国に安全審査を申請することは認められないという考えを示しました。
また、新潟県の泉田知事は、「大勢が不安に思っている中で地元に相談せずに申請を急ぐ理由は何か。一年前にお金と安全とどちらが大事か聞いた際に安全第一だと言っていたが、お金優先ではないか。」と述べ、東京電力の姿勢を批判しました。
さらに、東京電力側が「フィルターベント」の使用について事前了解を求める書類を手渡そうとしましたが泉田知事は受け取りを拒否しました。
会談のあと東京電力の廣瀬社長は「みなさんの理解を得たいと思って来たわけなので、8日の申請については正直難しと感じた。とにかく理解をしてもらうために何度も説明する機会をもらいたい」と述べました。
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