早期の再稼働に向けた安全審査の申請が発表された東京電力柏崎刈羽原発では、早くから地震対策の強化を進め昨年9月に7つの全号機で耐震補強工事が終了。津波対策としての防潮堤建設も全号機で完了するなど安全対策が順調に進んでいる。だが、敷地内の断層評価や地元反応次第では、再稼働に懸念材料もある。
柏崎刈羽は平成19年7月の新潟県中越沖地震で被害を受けたことから、建屋を同地震の最大加速度(1018ガル)に耐えられるよう耐震性を強化。重要設備を集合させた免震重要棟(緊急時対策所)も整えた。
津波対策もほぼ終えた。昨年8月には今回申請する6、7号機側に海抜12メートルの敷地に高さ3メートルの防潮堤を1キロにわたって整備。防潮堤を津波が超えた場合の対策としても浸水や波力の衝撃を防ぐ防潮壁や水を通さない水密扉も完成済みだ。
6、7号機は改良型の沸騰水型軽水炉(BWR)のため放射性物質の排出を抑えるフィルター付きベント(排気)装置の即時設置義務があるが、審査期間中に設置できれば、申請時は計画書の提出だけでよく、早期申請が可能となった。
順調に進むかに見えるが不安もある。ベント装置の基礎工事が行われているが、早期再稼働に否定的な新潟県は「ベントの設置は県などの了解が必要だ」と主張。了解を得るのに長引けば、実地検査に間に合わない可能性も出てくる。この点について2日の会見で東電の広瀬直己社長は「地元と話をしたい」と述べるにとどまった。
敷地内には東電が「30万~20万年前」に動いたとする断層が存在。耐震設計上考慮すべき「13万~12万年前以降」に活動しておらず「活断層でない」とするが、規制委は断層の評価範囲を40万年前以降に拡大しており、活断層と判断される可能性も否定できない。
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/life/medical/snk20130703128.html