子供たちが屋外で過ごす機会が増える夏。虫刺されやあせも、とびひなど、皮膚のトラブルも増える。予防と対策を専門家に聞いた。(戸谷真美)
■とびひが急増
夏になると増えるのが伝染性膿痂疹(のうかしん)、いわゆるとびひだ。佐藤皮膚科小児科クリニック(東京都練馬区)の佐藤徳枝(とくえ)院長は「虫刺されの部分をかいて傷ができ、そこから感染してしまう。高温多湿の気候で免疫力が落ちていることも夏に多い理由です」と話す。
虫刺されやあせもの部分をかいてできた傷口などから黄色ブドウ球菌や連鎖球菌が入り込み、水疱(すいほう)になる。中の液体は非常に感染力が高く、別の箇所や他人に、まるで火事のように急激に広がることから「飛び火」と呼ばれる。
大人に比べ汗をたくさんかく子供はあせももできやすい。「あせも自体の症状は軽いが、かくことで炎症をひどくしたり、とびひになってしまったりすることもある」(佐藤院長)
アトピー性皮膚炎も悪化しがちだ。佐藤院長は「夏は汗をかくので、一見皮膚はしっとりしているように見えるが、実は紫外線(UV)による乾燥で、肌の水分や弾力がなくなり、傷つきやすくなっている。肌が傷つくとそこからダニやハウスダストといったアレルゲンが侵入しやすくなります」。「かゆい→ひっかく」という悪循環で、アトピーが悪化することが多いという。早期発見・早期治療が大切だ。
■日光浴は控えて
皮膚トラブルを起こさないためには「清潔・保湿・紫外線対策という3つが大切。お母さんのお肌と同じように子供もケアしてあげてほしい」と佐藤院長。入浴の際は洗い残しがないように夏でも湯船につかるのがお勧め。皮膚のバリア機能を保つため、夏でも乳液やローションなどを活用する。「皮膚科では保湿のためのクリームやローションを処方します。市販のものは低刺激のもので大丈夫」(佐藤院長)
紫外線対策も大事だ。「子供に日光浴が必要」とされたのは過去の話。母子手帳でも平成10年版からは日光浴ではなく「外気浴」を推奨している。逆に、日焼けや紫外線角膜炎(雪目)、免疫力低下といった障害が注目されるようになった。
表皮の免疫に関与するランゲルハンス細胞が紫外線の影響を受け、働かなくなってしまうため、皮膚から浸入する異物を感知できず、免疫力が落ちるという。長期的には、より波長の長いUV-Aの影響で、しみやしわだけでなく、皮膚がんの遠因になる可能性もある。
佐藤院長は「日焼け止めは家族で共用して大丈夫。肌に残ってしまうと荒れる原因になるので、お風呂でしっかり落とすことが大切です」とアドバイスしている。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130703/bdy13070307310000-n1.htm
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