大規模地震などの災害時には飲料水の確保が課題だが、新潟県五泉市は停電時でも使える移動可能な災害用浄水装置を村松体育館に配置した。環境エンジニアリング企業「三協アクアテック」(東京都)が開発した装置で、1時間の稼働で河川や雨水、学校プールなどの水を45リットル浄化し、大人が1日に必要な飲料水15人分を作ることができる。同市村松地区出身の同社社長、渡辺寿広さん(62)が「故郷のために役立ててほしい」と寄贈を申し出、設置が決まった。
寄贈された装置は「サンアクア」。長さ125センチ、幅85センチ、高さ137センチで、重さ約270キロ。水の中に入っているごみなどを濾過(ろか)した後、活性炭と特殊な膜で有機物や雑菌を取り除き、紫外線殺菌装置で大腸菌などを殺菌することで、処理後の水は水道水としての基準をクリアする。電源は太陽光パネル4枚で稼働するほか、家庭用電源、車用12ボルトバッテリーの3種に対応する。
同装置の試運転を兼ねた説明会には住民ら約50人が出席。太陽光を電源に、川の水の代わりに麦茶を使って浄水化試験を行い、浄化後の水を試飲した。50代の男性は「もとが麦茶とは分からない。災害発生時に使うことができれば安心」と話し、期待を寄せていた。
同装置は3タイプあり、今春から本格的に発売される。既に自治体や病院などから問い合わせがあるといい、渡辺さんは「東日本大震災前から開発に取り組み、完成するまで4年かかった。当時、東海地震などが騒がれており、世の中のためになるものを集大成として残したかった」と話している。
同市の伊藤勝美市長は「災害時は断水することが多い。この装置を使う機会がないのが一番だが、1台あればいざというときに、どこでも運ぶことができ心強い」と寄贈を歓迎。早速同館に展示し、住民にも周知を図っている。
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