原子力規制委員会が27日、原子力災害対策指針の改定案を了承したのを受け、新潟県内では、すでに計画を策定した長岡市を除く東電柏崎刈羽原子力発電所から30キロ圏内の自治体は3月18日を「目安」に、原発事故地域防災計画を策定中で、3月中にほぼ完成する見通しだ。規制委は自治体の地域防災計画策定などを原発再稼働の前提にする方針で、7月に施行される原発の新しい安全基準と合わせ、再稼働議論に向けた環境整備が進むことになる。
県内では全30市町村でつくる原子力安全対策に関する研究会が昨年11月、柏崎刈羽原発事故時の自治体行動指針を独自に策定した。
今回の指針改定で盛り込まれた安定ヨウ素剤の5キロ圏の家庭への事前配布については、焦点だった配布手順が先送りになったため、柏崎市と刈羽村では再改定時の計画修正で対処する見通しだ。柏崎市では市内の小中学校、刈羽村では村役場にすでにヨウ素剤を備蓄しているという。
規制委によると、柏崎刈羽原発から30キロ圏の人口は約43万5千人。事故時、ただちに避難が必要な5キロ圏人口は柏崎市1万6600人、刈羽村全域4900人。避難対象人口は風向きによって長岡市を中心に最大20万人になる。
長岡市の計画によると、同市では事故の際は屋内待避が原則。避難指示が出た場合、放射性物質を避けるために風向きと直角方向に避難することを明記した。
当面の危機を脱するための1次避難、避難が長期化した場合に県外などに出る2次避難を想定。東日本大震災で被災者を受け入れた経験から避難先に職員を同行させ、受け入れ先の市町村と避難所運営などで連携を取る。避難手段は自家用車が前提だが、バスなどの移動手段を確保するよう関係機関と調整を図ることを定めた。
燕市や小千谷市、出雲崎町は「研究会の指針などを参考に」18日までに計画を完成させる予定。上越市は「18日をめどに」作業を進めており、3月中に段取りをつけたいとしている。
新たに拡散シミュレーションに入り、ノウハウ不足が指摘された見附市の担当者は「ゼロからだったが終盤に入った」と話す。
ただいずれの自治体も計画は大枠のもので、避難手段の確保、広域避難時の受け入れ先など計画の具体化に向けた国の法的整備や県の調整が求められている。
県の地域防災計画も規制委の指針改定を先取りする形で昨年8月に修正済みで、県内の原発災害対策はほぼ整う。
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