高齢者や障害者などの孤立死や虐待などを防ぐため、新潟市は先月から地域住民や事業者と協力した見守り活動を行う「市高齢者等あんしん見守りネットワーク」の取り組みを始めた。市は「多くの見守りの目を広げていき、的確な支援につなげたい」と話す。
市福祉総務課によると、同市内の高齢者数は市民約81万2000人の約23%を占める18万7371人(10年現在)。このうち65歳以上の高齢者のみの世帯数は4万8096世帯に上り、さらにこのうちの約47・9%は1人暮らし世帯だという。市内でも孤立死の事例があるという。同課の芋川常治課長は「地域の結びつきが希薄となる中で、これだけ1人暮らしの高齢者がいれば、突然何かあっても気づきにくい」と指摘する。
このため市は今回、新たに東北電力、北陸ガス、市水道局の他、新潟ヤクルト販売、市内の全115郵便局など、市の事業に同意した計5事業者と協力関係を結んだ。異変に気づいた場合には市内に27カ所にある市の委託事業者「地域包括支援センター」に通報し、民生委員や社会福祉協議会などと連携を取りながら迅速に対応する。
篠田昭市長は「いざという時に備え、支援が必要な人の同意を得た上で、地域の方に協力を求めている」と話す。個人情報の取り扱いに配慮しているが、干渉されるとして嫌がる高齢者もいるため、市の担当者は「定期的に検針や集金などで接する機会を持つ事業者の協力は不可欠」と話す。過去には、新聞販売店従業員が朝方に徘徊(はいかい)する認知症の高齢者を発見したこともあった。
市は、高齢者だけではなく障害を持つ人や子どもの虐待などにも注意を配り「地域の福祉を守りたい」とする。
市は異変に気づくポイントとして▽新聞や郵便が数日たまっている▽昼夜を問わず電気がつけっぱなし▽洗濯物が外に干されたままになっている▽最近顔を見ない--などを挙げる。
地域住民が異変に気づいた場合にも、最寄りの地域包括支援センターで相談などを受け付けている。また今後も事業者の協力を募ってネットワークを拡大していきたいとしている。取り組みに関する問い合わせは、市福祉総務課(025・226・1173)。
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