大津市の中2男子が自殺した事件で同級生が暴行容疑などで書類送検されるなど、いじめの深刻な実態が浮き彫りになる中、各地の法務局に手紙で相談を持ちかける小中学生が増加している。校内でいじめを受けているケースが多く、内容は多岐にわたる。法務局関係者は「学校や親に相談できない子供の連絡が多く、問題の早期認知にもつながる」と指摘している。
《いじめにあってます。菌(黴菌(ばいきん))扱いです。両親には、勇気が出ず何も言えません》《陰口を言われたり、無視されたりします。「ちくった」と言われるので学校には言わないで》…。昨年10月以降の約2カ月間で、東京都内の小中学生から東京法務局(千代田区)に届いた悲痛な叫びは750通以上に及んだ。
法務省は悩みを周囲に打ち明けられない子供の「声なき声」を掘り起こそうと、平成18年度から、いじめや虐待の相談を手紙で受け付け、アドバイスする「子どもの人権SOSミニレター」事業を実施。毎年10~11月、切手不要の専用紙を全国の小中学校を通じて配布している。児童生徒は年間を通じて、悩み事を書いて投函(とうかん)すれば、法務局の担当者に届く。同省によると、20年度に5567件だったいじめ相談の手紙は年々増加し、23年度は8916件に。《「震災で死ねばよかったのに」「この町から消えうせろ」と言われる》。東日本大震災に伴う転校先での嫌がらせを打ち明ける訴えも昨年は目立ったという。
子供への返信は、元教師など各地域で民間から選抜され、法務大臣が委嘱した人権擁護委員が主に担当。秘密の厳守を約束した上で、複数の選択肢を提示し解決を図る。東京法務局で委員を務める江藤佳子さん(61)は「一人で解決できるのか、大人の手が必要なのか。1通に1~2時間かかっても、状況に応じた返事ができるよう最善を尽くしている」と話す。
法務省調査救済課は「窓口や電話では大人にうまく悩みを説明できないことも多い。一人で抱え込まず、思いを自由につづってほしい」と呼びかけている。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130105/trd13010522300013-n1.htm